ロシア、短・中距離核ミサイルの生産再開へ プーチン氏が表明 米国への対抗と主張
産経ニュース / 2024年6月29日 20時30分
ロシアのプーチン大統領は28日、米露間の中距離核戦力(INF)全廃条約が2019年に失効した後、ロシアが停止していたとする中・短距離ミサイルの「生産と配備を開始すべきだ」と述べた。米国が中・短距離ミサイルを欧州やアジアに搬入していることへの対抗措置だと主張した。オンライン形式で同日開かれた露国家安全保障会議の会合で発言した。
プーチン氏はロシアが核戦力の増強に乗り出す方針を改めて示した形。ウクライナ侵略を背景とした米露間の緊張がさらに高まるのは避けられない情勢だ。
プーチン氏は「米国の身勝手な離脱によりINF全廃条約が失効した後も、ロシアは米国が中・短距離ミサイルを世界各地に配備しない限り、中・短距離ミサイルの生産や配備をしないと表明してきた」と指摘した。
その上で、米国が最近、軍事演習名目でデンマークとフィリピンに中・短距離ミサイルを搬入した上、その後も搬出したかは分かっていないと主張。「ロシアはこれらの攻撃システム(中・短距離ミサイル)の生産を開始し、その後、どこに配備するかを決定する必要がある」と述べた。
米国は19年2月、ロシアがINF全廃条約を順守していないとして条約の破棄をロシアに通告。条約は同年8月に失効した。ロシアは「米国がINFを欧州などに配備した場合、対抗措置をとる」と警告する一方、双方が条約失効後もINFの新たな配備を自制することを提案していた。
ロシアは米国との軍拡競争の激化に伴う財政の悪化を懸念し、INF配備の相互自制を提案していたとみられている。(小野田雄一)
◇
中距離核戦力(INF)全廃条約 米国と旧ソ連が地上配備の中・短距離ミサイル(射程500~5500キロ)を発効後3年以内に全廃すると定めた条約。1987年12月調印、88年6月発効。特定分野の核戦力の全廃を盛り込んだ史上初の条約となった。査察制度も導入し、91年までに計2692基を廃棄。米国は2018年10月、ロシアの違反を理由に条約破棄の方針を表明。19年8月に失効した。条約に縛られない中国は開発・配備を進めてきた。(共同)
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