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「分断の世界」克服なるか サイバー犯罪条約で29日から国連最終会合 西側と露が攻防

産経ニュース / 2024年7月25日 11時51分

サイバー犯罪条約の採択を目指す国連の最終会合が29日、米ニューヨークで始まる。ウクライナや中東の紛争で国際社会が分断を深める中、共通のルール作りに合意できるか否かの試金石となる。人権保護のあり方を巡って西側はロシアと対立するが、交渉が決裂すれば国連の「機能マヒ」を印象付ける懸念も強い。

条約は、不正アクセスや児童ポルノ流布などの犯罪捜査で国際協力のあり方を定めるものだ。電子証拠の情報収集や提供が対象になる。ロシアの主導で草案作りが国連総会で決議され、2022年に交渉が始まった。日本は交渉委員会で、米中露などとともに副議長を務める。

決議では現在開催中の総会への草案提出が定められ、会期末の9月が期限となった。今年2月の最終会合で合意を目指したが、西側とロシアの溝が埋まらず、今月29日~8月9日の日程で再会合が決まった。

西側は「表現の自由」の抑圧、差別につながる捜査については、協力要請を拒否できる条項を明記するよう要求している。強権国家が反体制派の監視で条約を悪用するのを防ぐためだ。協力範囲も限定するよう求めている。これに対し、ロシアは「条約はテロなど幅広い犯罪に適用すべき」と主張。人権保護の条項でも、西側の提案に異議を唱える。

草案を巡っては、人権関連の約100団体が「個人データや人権保護の仕組みが不十分」と批判する共同声明を発表した。米IT業界は、サイバー空間への規制強化を警戒する。

一方、グローバルサウスと呼ばれる新興国や途上国は、ロシアとともに条約策定を強く求めている。デジタル安全対策の遅れによって、途上国でサイバー攻撃の被害が深刻化していることが背景にある。22年には南米コスタリカで政府機関がマヒ状態に陥り、非常事態宣言を迫られた。サイバー犯罪対策では欧州主導で採択された条約があるが、多くの途上国は協力の枠外に置かれてきた。

日本外務省の関係者は「グローバルサウスは国連で発言力を増している。西側が人権保護を盾に交渉を決裂させたら、強い反発を受けるだろう」と話す。

サイバー攻撃による被害は昨年、世界で推計8兆ドル(約1200兆円)にのぼった。日本や米欧でも児童ポルノの流布、オンライン賭博などの犯罪が増えており、国際協力は喫緊の課題となっている。(三井美奈)

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