山崎和之・国連大使「戦後で一番厳しい情勢」 日米安保、露朝軍事協力へ核抑止「効果」
産経ニュース / 2024年12月25日 10時41分
【ニューヨーク=平田雄介】国連安全保障理事会で日本の非常任理事国の任期が31日で終了するのを前に、山崎和之国連大使が産経新聞の取材に応じた。山崎氏はロシアのウクライナ侵略や中東危機に対応した2年間の任期を「第二次大戦後、一番厳しい安全保障情勢」と振り返った。また、ロシアと軍事協力する北朝鮮が核・ミサイル開発を進める中、日米安全保障条約を念頭に「核抑止の効果」に言及。日本原水爆被害者団体協議会(被団協)のノーベル平和賞受賞を機に、一部で盛り上がる日本の核兵器禁止条約加盟や締約国会議へのオブザーバー参加には慎重な姿勢を示した。
安保理は今年も、ウクライナ侵略や中東危機、北朝鮮の核・ミサイル開発に実効性のある対応をとれず、「機能不全」が続いた。他方、9月の国連「未来サミット」では、首脳レベルで初めて安保理改革の「緊急の必要性」を明記した協定が採択され、改革の機運は高まっている。
山崎氏は、来年の国連創立80年を前に「改革機運の高まりを現実に落とし込んでいく」と強調。安保理を離れた後も、国連総会などの場で途上国の開発や人道支援に関する議論を主導し、多くの国連加盟国の信頼を得て日本の常任理事国入りにつなげていきたい考えだ。
米国は、日本を含む常任理事国の拡大を支持しながらも、新たな常任理事国には拒否権を与えない方針。山崎氏は「新しい常任理事国は(現在の5カ国と)同じ扱いをされるべき」と述べる一方、「新しい常任理事国は当面、拒否権行使を控え、15年後をめどに全ての常任理事国の拒否権を見直す」との立場を表明した。
山崎氏はまた、来年1月に返り咲くトランプ次期大統領の下で米国の国連への関与が弱まるとみられていることについて、「一国主義の印象があるが、第1次トランプ政権下で国連予算はあまり減らなかった」と指摘。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)や国連児童基金(ユニセフ)など人道機関への貢献は「第1次政権時も一貫して大きかった」と振り返った。
ただ、第2次政権の対応が実際にどうなるかは「予断できない」と説明。国際刑事裁判所(ICC)が今年5月、戦犯容疑でイスラエルのネタニヤフ首相に逮捕状を出したことを巡り、ICCに制裁を科そうとする「米国内の議論を注視している」と述べた。
ICCの最大の資金拠出国は日本。検察官出身の赤根智子氏が所長を務め、ウクライナ侵略を続けるロシアのプーチン大統領に対しても戦犯容疑で逮捕状を出している。
山崎氏は、ロシアの侵略行為は「明確な国際法違反だ」と強調。ICCについて「国際法の履行を担保する仕組みのない国際社会で『法の支配』を強化する手段として作られた」と重要視。不正義を防ぐために「国際法の順守を推進する活動は永続的に続けていかなければいけない」と訴えた。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
3年目のウクライナ侵攻、北朝鮮派兵で「根本的に違う次元に」 松田邦紀前大使が語る支援、日本にとっての戦争の意味とは?
47NEWS / 2024年12月15日 9時30分
-
【尹大統領独占インタビュー】戒厳令48日前に見せた焦り...「私にはもう十分な時間がない」
ニューズウィーク日本版 / 2024年12月11日 15時10分
-
ICCは存続の危機に、大国から圧力と赤根所長
ロイター / 2024年12月3日 12時22分
-
非常任理事国選、43年に立候補 日本、20年先の選挙へ表明
共同通信 / 2024年12月3日 11時59分
-
<日中世論調査>中国国民の対日好感度が大幅悪化、日本国民の対中感情はやや好転
Record China / 2024年12月3日 10時30分
ランキング
-
1岩屋外相と王毅外相、初の対面会談 日本に歩み寄る姿勢強める
日テレNEWS NNN / 2024年12月25日 17時38分
-
2「彼らは横柄」「飛ぶものは何でも撃つ」ロシア兵、北朝鮮兵に不満 ウクライナメディア
産経ニュース / 2024年12月25日 15時34分
-
3カザフスタンで67人乗り旅客機が地面に衝突・炎上、生存者32人を病院搬送…緊急着陸に失敗情報
読売新聞 / 2024年12月25日 21時14分
-
4パキスタン軍がアフガニスタン南東部を空爆 少なくとも46人死亡
日テレNEWS NNN / 2024年12月25日 20時56分
-
5トランプ氏、グリーンランド領有に再び意欲「絶対に必要だ」…自治政府「売り物ではない」反発
読売新聞 / 2024年12月25日 19時1分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください