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波乱のCOP29が閣僚級会合へ 仏、アルゼンチンが欠席 気候変動対策、資金拠出を協議

産経ニュース / 2024年11月17日 11時30分

【バクー=小野田雄一】アゼルバイジャンの首都バクーで開かれている国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)で18日、閣僚級会合が始まる。COP29では11日の開幕後、気候変動対策と直接的には無関係な各国の政治的対立や思惑が表面化し、波乱含みの展開が続いている。主要議題である来年以降の国際的な気候変動対策資金を巡る議論も紛糾しており、22日の閉幕までにどのような成果を示せるかは不透明だ。

トランプ氏の歓心買う思惑も

閣僚級会合には日本から浅尾慶一郎環境相が出席する。地球温暖化の抑止に向けた日本の貢献を打ち出すほか、各国と温暖化対策を協議する。

ただ、会合に先立ち、フランスのパニエリュナシェ・エネルギー移行相は欠席を表明。議長国アゼルバイジャンのアリエフ大統領が13日、南太平洋の仏領ニューカレドニアで5月に起きた先住民暴動を武力鎮圧したとしてフランスを糾弾したことを欠席理由に挙げ、「容認できない」と反発した。アゼルバイジャンは近年、領土紛争を抱える隣国アルメニアに対するフランスの軍事支援も非難するなど、対仏関係を悪化させていた。

さらに13日には、アルゼンチンの右派、ミレイ大統領が自国代表団に帰国を命じた。理由は説明されていないが、ミレイ氏は過去に「気候変動は社会主義者の噓」だと発言していたほか、同じく温暖化対策に否定的なトランプ次期米大統領との会談を14日に控えていた。帰国命令にはトランプ氏の歓心を買う思惑があったとの見方が強い。

ある交渉関係者は「フランスやアルゼンチンの不在が閣僚級会合に与える影響は限定的だが、協調機運を低下させたのは間違いない」と話した。

資金の上積み焦点、先進国と途上国の溝深く

気候変動対策資金を巡る協議も難航が続きそうだ。COP29では、温暖化の抑止に向けて来年以降に先進国が途上国に拠出する資金(民間投資を含む)に関し、現在の年間1千億ドル(約15兆4千億円)からどの程度の上積みで合意できるかが最大の焦点となっている。

途上国は少なくとも年間1兆ドル規模の拠出を求めているが、先進国は大幅な増額に慎重である上、中国やインドなど温室効果ガス(GHG)排出が多い新興国も資金拠出に加わるべきだとする立場をとる。先進国と途上国の間の溝は深い。

13日に発表された資金拠出に関する成果文書の草案は、各国の立場が網羅的に反映された結果、34ページもの分量に上った。15日時点で25ページまで圧縮されたものの、資金拠出の規模や期間に関する多数の事項が未決定のまま残されている。

閣僚級会合などを通じて、先進国と途上国がどこまで歩み寄りを示せるかがCOP29の成否の鍵を握っている。

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