北朝鮮から亡命した男性、金正恩氏を国連安保理で批判 「強制支配は長く続かない」
産経ニュース / 2024年6月13日 7時2分
【ニューヨーク=平田雄介】北朝鮮から亡命した元外交官志望の男性が12日、国連安全保障理事会に出席し、中国・北京への留学時代に北朝鮮の多くの国民が飢餓や弾圧に苦しむ実情を知り、祖国の変革を夢見たという体験談を語った。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記が国民の生活を犠牲にし、核・ミサイル開発を進めているとして、「強制支配は長く続かない」と批判した。
男性はキム・グムヒョク氏。今月の安保理議長国・韓国が、日本や米国、英国と共に要請した北朝鮮に関する会合で演説した。中国とロシアは冒頭、中止を求めたが、開催を支持する国が圧倒的多数を占めた。
演説によると、キム氏は北朝鮮のエリート一家に生まれた。幼いころから「特権的な生活」を送り、金日成総合大学に進学した。
外交官を目指して19歳のときに留学した北京でインターネットを利用し、北朝鮮が「世界中から羨望される国」ではなく、飢餓や公開処刑から命がけで逃れようとした国民を弾圧する政治収容所を持つ「独裁者が支配する国」だと知った。
キム氏は留学生仲間と議論し、国民が「恐ろしい真実」と「民主主義や基本的人権」を知れば、北朝鮮に「新しい社会を作ることができる」と励まし合った。だが、北朝鮮当局に見つかり、キム氏は逮捕を逃れるため韓国へ亡命した。
それ以来12年間、キム氏が家族と連絡を取れたことは一度もない。友人や知人は北朝鮮当局の報復を受けたと聞いた。「私だけが豊かな自由を生き延びた事実に苦しんでいる」と、声を詰まらせながら語った。
それでも、キム氏は「祖国を変えることをあきらめられない」と語った。金正恩氏が「冷酷な弾圧と核兵器への注力は指導者の地位を維持する方法ではない」と知るべきだと訴えた。
他にターク国連人権高等弁務官も演説し、北朝鮮は「国民を強制労働させ、賃金の最大9割を押収している」と報告。「北朝鮮の人権状況と軍事化、国際平和と安定の問題を切り離して論じることはできない」と指摘した。中露は「切り離すべきだ」と主張した。
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