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北朝鮮の露派兵、現代戦ノウハウ・経済・露技術…一石三鳥目論むが大きなリスクも

産経ニュース / 2024年11月13日 20時2分

【ソウル=桜井紀雄】ロシアに派遣された北朝鮮の朝鮮人民軍兵がウクライナ軍との戦闘を開始したと米政府が確認した。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記は派兵の見返りに朝鮮半島有事でロシアの支援が期待できるほか、将兵の練度向上や経済的な対価などメリットが大きいと判断したもようだ。ただ、戦況次第では、体制にとっての不安要因となるリスクもはらむ。

対外宣伝サイトで作戦計画公開も

韓国側に一斉攻撃を仕掛け、ソウルなどに住む米国人15万人を人質として拉致する-。北朝鮮は2013年に対外宣伝サイトを通じてこうした作戦計画を公開したことがある。その主体とされたのが、今回のロシア派兵部隊の主軸とされる「第11軍団」だった。

ウクライナが北朝鮮の派兵部隊を率いる将軍として国連に報告した3人には、リ・チャンホ副総参謀長が含まれた。対韓国工作やサイバー戦を統括する偵察総局長を兼ねる人物だ。対韓特殊作戦に備え、ウクライナ軍との実戦データを生かそうとの狙いが読み取れる。

韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は7日の記者会見で、交戦当初は現代戦に慣れない北朝鮮兵に多くの被害が出る可能性があるものの、時間とともに経験を積めば、「韓国の安全保障への致命的な脅威」になると危機感を示した。

北は自国製無人機開発急ぐ

ウクライナのゼレンスキー大統領は韓国メディアとのインタビューで、北朝鮮労働者がロシアの無人機工場に派遣され、「働いて経験を積むことになる」と予測した。金正恩氏は韓国から北朝鮮への無人機侵入に神経をとがらせる一方、自国製の無人機開発を急いでいる。北朝鮮が無人機が多用される戦場での戦闘方法と、無人機製造のノウハウを同時に習得する機会になる可能性がある。

韓国の金竜顕(キム・ヨンヒョン)国防相は北朝鮮からロシアへ「1千万発に近い数百万発の砲弾とミサイル約1千発」が渡ったとの推計を示した。韓国当局は、北朝鮮に推計約200カ所ある軍需工場のうち稼働できるものはフル稼働してロシアに供給する砲弾などを製造しており、その経済波及効果は小さくないとみている。派兵された兵士1人当たり2千ドル(約31万円)の対価を得るとも推算する。

派兵で技術支援の狙いも

北朝鮮には派兵でロシア側の信頼を取り付けることで、軍需物資の生産で得られる利潤や、ロシアからの軍事技術支援を確実にする狙いもありそうだ。日米韓当局は、ロシアから核・ミサイルや原子力潜水艦を開発するための技術支援が行われることを警戒している。

一方で、米韓やウクライナ当局は、現代戦の経験がない北朝鮮将兵に多数の死傷者が出ることは避けられないと予想。戦線離脱者が相次ぐ可能性も否定できない。こうした事態が生じ、北朝鮮本国の住民に情報が広まれば、体制を揺るがす不安定要素になりかねない。

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