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韓国大統領が非常戒厳を解除 宣言から約6時間、国会から軍撤収 国政運営は一層混迷

産経ニュース / 2024年12月4日 6時33分

【ソウル=桜井紀雄】韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は4日未明(日本時間同)、3日夜に宣布した「非常戒厳」を解除すると表明した。閣議で解除を決定した。尹氏は国会で出席した与野党議員190人全員の賛成で戒厳解除要求決議が可決されたことを受け、国会などに展開させた軍部隊も撤収させたことを明らかにした。

非常戒厳は戒厳令の一つの形態。戦時などの非常事態に大統領が宣言し、市民の権利を制限できる。1980年代初頭以来で、87年の民主化後初めてとなる戒厳令の宣布は、宣言から約6時間で解除された。

国会で多数派を占める革新系最大野党「共に民主党」が尹政権の閣僚らの弾劾訴追案の国会提出を繰り返すなどし、国政運営に支障を来す中、尹氏は非常戒厳の宣布という極端な手段で事態打開を図ろうとしたものの、短時間で解除に追い込まれた形だ。

共に民主党は4日、今回の非常戒厳の宣布について「重大な憲法違反だ」と主張し、尹氏に即時辞任を要求。応じなければ、大統領の弾劾を進めると表明した。保守系与党「国民の力」の韓東勲(ハン・ドンフン)代表も「与党として国民に申し訳なく思う」と陳謝。大統領が直接、状況の詳細を説明すべきだとし、非常戒厳を建議したとされる金竜顕(キム・ヨンヒョン)国防相の即時解任を求めた。

今回の宣布に批判的な保守層も多く、尹氏の求心力回復は絶望的だ。今後の国政運営は一層の混迷が避けられない。

大統領府は4日、鄭鎮碩(チョン・ジンソク)大統領秘書室長や首席秘書官ら大統領府の主要高官が一斉に辞意を表明したと発表した。

尹氏は3日夜、緊急談話で野党側の動きを「内乱を画策する明白な反国家行為だ」と批判し、戒厳司令部を稼働させた。司令部は国会や政党の活動やデモなど、一切の政治活動を禁じ、全てのメディアや出版も統制を受けるとする布告令を発表。国会内に軍部隊を展開させていた。

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