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拉致情報、軍事境界線の対北宣伝で拡散を 韓国の「心理戦」専門家重鎮が進展に有効と提言

産経ニュース / 2024年8月13日 16時58分

韓国の康仁徳元統一相(桜井紀雄撮影)

【ソウル=桜井紀雄】韓国の康仁徳(カン・インドク)元統一相(91)が13日までに産経新聞などとの対談に応じた。康氏は、韓国軍が南北軍事境界線付近で約6年ぶりに再開した拡声器による対北宣伝放送を使って、日本人拉致被害者に関する情報を北朝鮮内に拡散させることが拉致問題の進展に有効だと提言した。

日本の民間団体は拉致被害者の横田めぐみさん(59)=拉致当時(13)=の映画の動画を北朝鮮内に送り込もうと試みている。康氏も対北宣伝放送でめぐみさんの母、横田早紀江さん(88)のメッセージを伝える方法に言及。日本政府が拉致問題の情報を北朝鮮に浸透させる「心理戦」を積極的に展開する必要性を強調した。

康氏は、韓国の情報機関、中央情報部(現国家情報院)で1970年代以降、「心理戦」と呼ばれるラジオ放送や拡声器、ビラ散布などを通じた対北宣伝戦略の基礎を築いた重鎮。ソウルで産経新聞と龍谷大の李相哲教授との対談に応じた。

康氏は、外部からの映像や情報の流入が北朝鮮住民に与える影響力を指摘した上で、対北宣伝で拉致問題に関する情報の拡散に触れた。実施に当たっては日韓両政府の外交的な協議が必要だとしつつ、韓国人拉致被害者の情報と合わせる形での発信も可能と説明した。

韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は、北朝鮮の人権問題を重視し、韓国人被害者も多い拉致問題の解決に向けて日本との協力を模索している。宣伝放送を活用した拉致情報の対北拡散が実現すれば、国際社会に日韓の連携をアピールする機会ともなる。

康氏は「拉致問題の解決なしには、日本との国交正常化はなく、日本の経済協力を通じた北朝鮮の経済再建もない」とのメッセージを放送に盛り込み、北朝鮮の幹部や住民に浸透させることが、金正恩(キム・ジョンウン)政権に対する圧力となるとの見方を示す。

康氏が着目するのは、軍事境界線付近の前線に配置され、放送を耳にする50万~60万人とされる北朝鮮の兵士が、エリート層に近い20代前後だという点だ。この世代はひそかに韓国のドラマや音楽に触れ、体制への忠誠心が薄いとされる。兵士らを通じて放送内容が広まれば、「社会の基底が崩れ、体制自体の崩壊につながる」と分析する。

北朝鮮からは約10万人ともされる比較的裕福な層の若者らが中国など海外に労働者として派遣されている。康氏は、彼らに情報が届くようにするなど、拉致に関する情報を北朝鮮住民に広めるにはさまざまな手法が考えられるとも指摘した。

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