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苦悩の韓国与党議員…過去の「トラウマ」影響 政局、さらに混乱へ 大統領弾劾訴追案廃案

産経ニュース / 2024年12月7日 23時2分

【ソウル=時吉達也】韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に対する弾劾訴追案が廃案となった7日の国会本会議で、与党議員は表決を前に一斉に議場を後にした。尹氏の早期退陣は不可避だとの見解で一致するものの、深刻な保守分裂を招いた過去の弾劾の「トラウマ」が苦悩の結論を導いた。尹氏が政権運営の主導権を失うのはほぼ確実となったが、与党が目指す大連立政権の発足に野党が応じる見通しは立たず、韓国政局のさらなる混乱は必至だ。

「大統領容認しない」

「投票に参加しない姿を国民が、世界がどう見るだろうか。歴史の評価が怖くないのか」。野党「共に民主党」出身の禹元植(ウ・ウォンシク)議長は与党議員らに議場に戻るよう呼びかけ、採決の不成立を宣言するまで約3時間待ち続けた。

これに応じて与党「国民の力」の金相旭(キム・サンウク)議員は議場に戻り、記者団に「国民が見ている」と述べたが、党方針に従い賛成票は投じなかったと説明。「憲政秩序を踏みにじった大統領を容認するものでは決してない」と声を震わせ、苦渋の決断だったことを明かした。

重鎮議員が弾劾に抵抗

与党の韓東勲(ハン・ドンフン)代表は採決を控え6日、弾劾賛成の意向を表明。韓氏に近い議員20人以上が賛成に回り、可決される可能性が濃厚になっていた。

これに対し、党内では尹氏に近い勢力だけではなく、中道的な重鎮議員らも抵抗した。同党では2016年、友人の国政介入事件が発覚した当時の朴槿恵(パク・クネ)大統領の弾劾をめぐって賛否が分かれ、2割以上の議員が離党。再合流後も党内対立は解消されていない。離党を経て、現在は与党の次期大統領候補の一人として尹氏と距離を置く呉世勲(オ・セフン)ソウル市長も6日、「弾劾だけは避けなければ」と訴えた。

結局、尹氏は7日午前の談話で謝罪し、政権運営の一線から距離を置く意向を表明。韓氏も譲歩する形で事態収拾に重点を置き、弾劾訴追反対に回った。

早期退陣応じず

与党側は今後、大統領の早期退陣に向けて野党側と協議し、混乱を最小限にとどめたい考えだ。しかし、7日の採決では結果発表まで集団で待機する与党議員らと、投票を促す野党議員らが声を荒らげ合う場面も。弾劾回避に向けた歩み寄りは期待できない状況にある。

野党側は弾劾訴追案採決が不成立で廃案となったことを受け、11日にも再提出する方針。共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表は「公然と時間稼ぎをせず、現状を直視すべきだ」と、早期退陣案には応じない意向を示している。

国会周辺では7日午後、約15万人(警察推算)が弾劾を求める大規模集会に参加。7歳の息子と参加した金善宇(キム・ソヌ)さん(43)は「たった一人が国をめちゃくちゃにする歴史的な場面を子供に記憶させたかった」と話した。

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