韓国・尹大統領、司法戦略見直し不可避 拘束令状発付、支持者ら過激化も
産経ニュース / 2024年12月31日 17時39分
【ソウル=桜井紀雄】「非常戒厳」宣布を巡って韓国の裁判所が31日、内乱などの容疑で尹錫悦大統領の拘束令状を発付したことで、戒厳は内乱に当たらないと捜査の不当性を強調してきた尹氏側は司法対応の戦略見直しを迫られる。一方で、戒厳宣布を「正義」の行動と信じる尹氏の一部支持層は令状発付に激しく反発。身柄拘束が実行されれば、社会対立が一層深まる恐れがある。
「捜査を避けたり遅らせたりする意図はない。適法な手続きが行われれば、堂々と法に従い応じる」。令状発付を受け、尹氏側弁護士は同日、記者団に強調した。
尹氏側は令状を請求した捜査機関「高位公職者犯罪捜査処(公捜処)」に内乱容疑で捜査する権限はないと主張。再三の出頭要請に応じなかったのは、公捜処と検察が捜査の主導権争いをしていた上、出頭時の尹氏の警護について協議されなかったためだとして捜査資格や手続きを問題視した。
だが、裁判所は令状を発付することで、公捜処による内乱容疑での捜査の妥当性を認めた形で、尹氏側の「第1防衛線」が崩れたことになる。
検事総長出身の尹氏は、国会の弾劾訴追を受けて憲法裁判所で行われる公開の弁論で自らの正当性を論じる戦略だった。ただ、捜査機関の身柄拘束による取り調べに先に備える必要に迫られる状況に追い込まれた。
公捜処が尹氏の身柄拘束に動く場合、懸念されるのが尹氏の支持者らとの衝突だ。
この日、尹氏の公邸前には、大勢の支持者が「令状の無効」を訴えて集まり、警官隊とにらみ合いを続けた。尹氏は、戒厳で「野党による自由民主主義秩序の破壊」を防ごうとしたと主張しており、大義名分を盾にした支持者らの反対行動は過激さを増している。
与党も「現職大統領の身柄拘束を試みるのは不適切だ」と非難しており、捜査を巡る政界の対立も収まっていない。
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