韓国大統領捜査、拘束令状発付が一つの山場に 尹氏側は捜査自体を否定
産経ニュース / 2024年12月30日 18時20分
韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領への拘束令状を捜査機関が30日に請求したことで、裁判所が令状発付を認めるのかに注目が集まる。「非常戒厳」宣布を巡って捜査機関が尹氏を内乱の首謀者とみなしているのに対し、尹氏側は現職大統領への強制捜査の合法性を疑問視している。令状発付の可否は今後の大統領捜査の行方を占う山場となりそうだ。
「巨大野党の権限乱用に対し、私は憲法の枠内で大統領の権限を行使することにした」。尹氏は国会での弾劾訴追案可決に先立つ12日、国民向け談話でこう訴えた。戒厳宣布は合憲的な権限行使であり、内乱罪は成立しないとの主張だ。
これに対し、検察は27日に内乱重要任務従事などの罪で起訴した金竜顕(キム・ヨンヒョン)前国防相の起訴状で尹氏を内乱の首謀者に位置付けた。国会に兵力を投入し、戒厳解除要求決議の可決を阻もうと、尹氏が軍司令官らに電話で議員らの排除を指示した様子も、司令官らの陳述を基に生々しく記された。
尹氏側は「相当部分が噓の陳述だ」と否定するものの、複数の関係者が証言しており、指示の真偽は捜査や憲法裁判所での弾劾審判の過程で大きな焦点となる見通しだ。
尹氏側弁護士は、尹氏が弾劾訴追で職務停止となったとはいえ、「厳然たる大統領の身分だ」と強調。捜査機関の取り調べを受けるより先に憲法裁で弾劾訴追の妥当性に決着がつけられるべきだとの立場を示してきた。
尹氏側は今回、令状を請求した「高位公職者犯罪捜査処」や検察による内乱罪での捜査権限さえ否定している。尹氏は〝密室〟の取り調べではなく、憲法裁の公開の弁論で自分の正当性を訴えたい考えだとされる。(ソウル 桜井紀雄)
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