韓国軍OBらが戒厳2日前にハンバーガー店で謀議か 「内乱の聖地」と注目

【ソウル＝桜井紀雄】韓国警察は19日までに尹錫悦（ユンソンニョル）大統領が「非常戒厳」を3日に宣布する2日前に軍幹部を呼び出し、作戦の一部を指示したとして、内乱容疑で軍OBのノ・サンウォン元情報司令官を逮捕した。市民が行き交うソウル郊外の大手ハンバーガーチェーン店が謀議の場所となったと報じられたことも注目を集めている。

ノ容疑者は民間人だが、戒厳の中心となった金竜顕（キムヨンヒョン）前国防相に近い人物とされる。韓国メディアによると、ノ容疑者は現役の情報司令官とともに今月1日、ハンバーガー店で情報司令部の幹部2人に対し、ハンバーガーを食べながら「間もなく戒厳が宣布されるから準備しろ」と指示した疑いが持たれている。

戒厳当日に「中央選挙管理委員会のサーバーを確保せよ」とも指示したとされる。与党が惨敗した4月の総選挙を巡り、尹氏支持層の一部に不正選挙説が持ち上がっていた。尹氏は戒厳で軍を投入した目的の一つが選管システムの調査にあったと明らかにしている。

この大手ハンバーガーチェーンは2013年ごろにも、内乱陰謀罪に問われた左派系議員が謀議の場に使ったとして注目された。インターネット上では「内乱の聖地」だなどと揶揄（やゆ）する投稿も相次いだ。大手チェーンは韓国紙に「政治問題と関連付けられて困惑している」とコメントした。