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尹錫悦時計の針は戻らない 東京発世界

産経ニュース / 2024年12月25日 7時0分

尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領による非常戒厳宣布後の政局取材のため、韓国に出張した。保守系韓国紙の記者と食事をしていたところ、トングで肉を焼く左腕を突然つかまれた。「なんでこんな時計をしているんだ」

腕時計を紛失し、1カ月ほど前からたまたま使っていたのが、「尹錫悦」の名が刻まれた記念品の時計だった。彼は「今時こんな時計を着けていたら、常識が疑われるぞ」と続けた。

保守系支持層の間でも、今回の事態に対する衝撃は大きい。最大の疑問の一つは、かつて中道的な新党からの大統領選出馬も取り沙汰されていた尹氏が、「選挙結果が北朝鮮従属勢力に操られている」などと主張する右派ユーチューバーの陰謀論に、いつからのめり込んだのかという点だ。

「当初から反共主義者として一貫していた」との見方もある一方、「夫人をめぐるスキャンダルで不当に攻撃を受け続け、周囲に耳を貸さなくなった」という指摘もある。さらには「アルコール依存による判断力低下」(中央日報コラム)との主張まで出ており、分析はさまざまだ。

「大統領の功績が全て否定され、韓日関係改善を妨害する勢力に力を与えるのが残念だ」。冒頭の記者はため息をついた。分岐点がどこにあったにせよ、「尹錫悦時計」の針は戻らない。(時吉達也)

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