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韓国で「親日」「反日」政争が激化、竹島模型撤去が引き金 福島処理水で尹政権が反撃も

産経ニュース / 2024年8月28日 18時28分

【ソウル=桜井紀雄】韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権と野党の間で、「親日」「反日」を巡る政争が激しさを増している。日本との関係強化を進める政権に対して野党が「親日」とのレッテルを貼って攻勢を強めると、政権側は野党を真っ向から批判し、一歩も引かない構えだ。国会は野党側が多数派を占めており、政争が常態化すれば、対日外交にも影響を及ぼしかねない。

政争の新たな火種となったのは、日本による朝鮮半島統治からの解放を記念する15日の「光復節」を前に、ソウルの地下鉄主要駅や戦争関連の記念施設に展示されていた竹島(島根県隠岐の島町)の模型が撤去されたことだった。韓国は不法占拠する竹島を「独島(トクト)」と呼び、愛国のシンボルとしてきた。

日韓両政府は岸田文雄首相の来月初旬の訪韓に向けて調整中とされる。最大野党「共に民主党」は「岸田首相の訪韓に合わせ、公共機関の独島オブジェが一斉に撤去された」と主張。28日には党内に「『独島消去』疑惑真相究明特別委員会」を立ち上げたと発表した。党幹部は「主権や領土を売り飛ばし、それを黙認するのは反国家行為だ」と尹政権を非難した。

模型の撤去が物議を醸すと、公共機関側は設置から十数年たって老朽化し、リニューアルのための一時的な撤去だと釈明。大統領府報道官は26日、「ありもしない独島消去を野党はなぜ疑うのか」と述べ、野党が騒ぎ立てて国際的な領土紛争地域と印象付けることは日本を利するだけとも反論した。竹島防衛を想定した定例の軍事訓練を年2回実施している点も強調した。

さらに大統領府報道官は、東京電力福島第1原発処理水の海洋放出開始から1年を翌日に控えた23日、「核汚染水の海洋投棄」などと国民の不安をあおってきた野党側の主張について「科学的根拠もない虚偽扇動だ」と明らかになったと批判した。周辺海域で採取した試料約5万件の検査で放射性物質が基準を上回るケースは1件もなく、風評被害対策などに巨額の予算が投じられたことも挙げ、野党側に謝罪を求めた。

世論が敏感に反応する竹島や原発処理水に絡む問題で対応を誤れば、政権への大きな打撃となりかねない。尹政権が強い反論に出た背景にはそうした危機感があるようだ。ただ、野党が尹政権への「親日」非難をやめる気配はなく、国会でも高官らに対する追及が続いている。

尹政権は日米との協力を外交・安全保障政策の柱に置いており、対日関係を重視する路線に今後も変わりがない点を強調してきた。だが、野党が国会の主導権を握る中、国会の同意や立法化が必要な日本に絡む政策は滞らざるを得ず、「反日」政争の激化は日韓関係に暗い影を落としている。

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