核兵器開発の進展を日米次期首脳に見せつけ 北朝鮮がまた弾道ミサイルを複数発射
産経ニュース / 2024年9月18日 20時13分
北朝鮮は18日朝、日本海に向けて複数発の弾道ミサイルを発射した。北朝鮮はこのところ核・ミサイル開発への傾注を改めて明確にしており、この時期の発射には、日米の次期首脳にその進展ぶりを見せつける意図が見え隠れする。
北朝鮮の弾道ミサイル発射は、12日に北朝鮮が「超大型放射砲(多連装ロケット砲)」と称する複数発の短距離弾道ミサイルを発射して以来。今回のミサイルについて、韓国軍はいずれも短距離弾道ミサイルで、約400キロ飛翔したと分析。日本の排他的経済水域(EEZ)には飛来せず、北朝鮮の東岸付近に落下したもようだ。船舶などへの被害は確認されていない。
北朝鮮は13日、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記が核兵器用高濃縮ウランの生産施設を視察したことを初公表するなど、日米韓の安全保障協力の深化に対抗し、核・ミサイル開発に傾注する立場を鮮明にしている。金氏は北朝鮮建国76年の9日に演説し、「米国主導の軍事ブロック拡張による重大な脅威」と日米韓の安保協力を非難。核兵器の増産政策の貫徹を表明した。
韓国の聯合ニュースは、今回の発射に関し、北朝鮮が7月1日に発射した「新型戦術弾道ミサイル」と似たタイプとの見方を伝えた。北朝鮮が「4・5トン級の超大型弾頭」を搭載可能だと主張していたミサイルだ。
兵器用のウラン濃縮施設にせよ、超大型弾頭にせよ、開発・生産の進展を誇示することで、核兵器の実戦配備計画を着実に進めていく意思を、今月の自民党総裁選や11月の米大統領選を経て新たに選出される日米の次期首脳に示す狙いがうかがえる。「核保有国」として、非核化交渉には一切応じないとの事前の牽制メッセージが含まれているといえそうだ。
日米韓の北朝鮮担当高官は18日、電話で協議し、国連安全保障理事会決議に反すると今回の発射を非難。日米韓が緊密に協力し、北朝鮮の脅威に断固対応していく方針を確認した。(小沢慶太、ソウル 桜井紀雄)
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