韓国検察が尹大統領を起訴「共犯事件の証拠など検討」 現職初、1度も取り調べできぬまま
産経ニュース / 2025年1月26日 19時5分
【ソウル=桜井紀雄】韓国検察は26日、「非常戒厳」宣布を巡る内乱首謀などの罪で尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領(64)を起訴した。検察は尹氏の勾留を延長して追加の捜査を進める計画だったが、裁判所が2度にわたって延長を認めなかった。検察は尹氏への取り調べを一度も行えないまま、決断を迫られることになった。
現職大統領が刑事事件で起訴されるのは初めて。大統領には不訴追特権があるが、内乱罪は例外だ。尹氏は最長6カ月間、拘束が維持され、公判に臨むことになる。
勾留満期は27日とみられていた。沈雨廷(シム・ウジョン)検事総長は26日、全国の検察幹部を集めた会議を開き、尹氏の起訴を巡って論議し、方針を決定した。
検察は「これまで捜査した共犯事件の証拠などを総合的に検討し、起訴することが相当だと判断した」と明らかにした。
尹氏は、捜査機関「高位公職者犯罪捜査処(公捜処)」が15日に身柄拘束、19日に逮捕したが、取り調べの大半を拒否してきた。23日の送検を受け、検察は2月6日までの勾留延長を申請したものの、認められない想定外の事態に見舞われた。
検察はこれまで、尹氏と内乱を共謀したとして、軍や警察の幹部らを起訴し、尹氏の内乱首謀容疑を裏付ける供述や証拠を確保してきた。一方で、尹氏側は、国会での戒厳解除要求決議の妨害や政治家らの拘束を指示したとの幹部らの証言を全面的に否認している。
検察が十分な補完捜査を行えないまま起訴に踏み切らざるを得なかったことで、今後、公判を維持していく上で難航が予想される。尹氏側の弁護団は26日、勾留期限は既に過ぎているとの解釈を主張し、「即刻釈放すべきだ」と訴えた。
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