親イラン勢力、イスラエルに報復の恐れ 停戦さらに困難に ナスララ師殺害
産経ニュース / 2024年9月28日 21時16分
【テルアビブ=佐藤貴生】イスラエル軍がレバノンの親イラン民兵組織ヒズボラの指導者ナスララ師の殺害を確認したことで、中東各地の親イラン勢力がイスラエルに報復する可能性が高まった。米仏が調停するイスラエルとヒズボラの停戦の実現はさらに困難な情勢となった。
ナスララ師は1992年、ヒズボラの当時の指導者ムサウィ師がイスラエル軍に暗殺され、32歳で後継指導者となった。レバノン軍を上回る戦闘能力を持つとされる民兵組織を率い、激烈な演説スタイルで米・イスラエルを徹底的に批判して注目を集め、中東屈指の指導者として知られた。
ナスララ師の指揮下でヒズボラは2006年夏、イスラエル軍との間で一歩も引かない激戦を展開し、双方で計1200人超が死亡した。昨年10月にパレスチナ自治区ガザで戦闘が始まると、イスラム原理主義組織ハマスを支持してイスラエル軍と交戦してきた。
これに対し、イスラエル軍は今年7月以降、ヒズボラの幹部司令官らを標的に次々と殺害した。
ヒズボラは今回、人前に姿を現さず演説も事前録画するほど暗殺を警戒してきたナスララ師までも殺害されたことで、内部の情報管理の甘さを露呈した。組織として壊滅的な打撃を受けたことは疑いない。
ただ、ヒズボラがイランなどと連携して反米、反イスラエル武装闘争を続けることは確実だ。イスラエルメディアは、ヒズボラの政治部門を統括し、後継者と目されるハシェム・サフィエディン師がヒズボラ本部空爆でも無事だったと報じた。ヒズボラは組織の立て直しを進めて対イスラエル攻撃を強化する見通しだ。
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