米も懸賞金をかけていたヒズボラ大物司令官を「殺害」 イスラエル軍が発表
産経ニュース / 2024年9月21日 8時46分
【エルサレム=佐藤貴生】イスラエル軍は20日、レバノンの首都ベイルート南郊を空爆し、親イラン民兵組織ヒズボラの大物司令官を殺害したと発表した。イスラエルのガラント国防相は、北部の住民約6万人が自宅へ戻るという目標の実現まで、攻撃はさらに続くと見通しを示した。双方の関係が急速に悪化し、中東地域の緊張が高まっている。
軍が殺害を発表したのはイブラヒム・アキル司令官。ヒズボラの精鋭「ラドワン部隊」を率いており、米政府は1983年に米海兵隊員を殺害した爆破事件に関与したとして、700万ドル(約10億円)の懸賞金をかけて行方を追っていた。
空爆で、アキル司令官と会議を行っていたヒズボラの司令官約10人も死亡したとの情報がある。現場は人口密集地で、ビル2棟が崩落して12人が死亡、66人が負傷した。がれきの中で生存者を探す人もいた。イスラエル軍は「標的を絞った爆撃」を行ったとしている。軍は7月末にもヒズボラのシュクル幹部を殺害したと発表していた。
レバノンでは17、18の両日、ヒズボラが使っていたポケットベル(ポケベル)やトランシーバーなど小型通信機器の多重爆発が各地で相次ぎ、37人が死亡、約3000人が負傷した。ヒズボラはイスラエルが関与したと断定、報復すると表明した。
携帯電話だと所在地情報などが流出しかねないとして、あえて使用していたローテク機器が狙い撃ちされ、ヒズボラ内部の連絡網が寸断された可能性は否定できない。民間に大きな被害が出てレバノン国内は混乱しており、ヒズボラが速やかに態勢を立て直して効果的に報復できるか疑問視する向きもある。
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