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米仏軍が撤収、露が勢力圏に取り込み 西アフリカのニジェール、マリ、ブルキナファソ

産経ニュース / 2024年7月23日 19時7分

【カイロ=佐藤貴生】西アフリカのニジェール、マリ、ブルキナファソの3カ国で、それぞれクーデターで権力奪取した軍事政権が連携を強めている。7月6日に「首脳会談」を開き、協力関係をアピール。旧宗主国フランスや米国の駐留軍を追放し、ロシアとの関係を深めている。グローバルサウス(南半球を中心とした新興・途上国)で欧米主導の国際秩序が揺らいでいる実態を象徴している。

3カ国の軍政トップ3人が6日、ニジェールの首都ニアメーで、「サヘル諸国同盟(AES)」の第1回首脳会談と称する会合を開き、連邦創設条約に調印した。サヘルとはサハラ砂漠南縁部をさす。

ロイター通信によると、ニジェール軍政トップのチアニ将軍は、会合の開催は「国家主権を取り戻すという私たちの共通の意思の成果だ」と強調した。

親欧米のバスム大統領をクーデターで追放してから7月26日で1年になる。

クーデター相次ぐ

3カ国では2020年から23年にかけてクーデターが相次いだ。露民間軍事会社「ワグネル」が偽情報を拡散させ、反仏感情を拡散したとも指摘される。ソ連崩壊で国力が落ち、アフリカの親露諸国との関係が衰えたロシアは近年、関係構築を積極的に進めている。

3人は会合で、地域の経済交流や協調を進める「西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)」からの脱退を確認。共通の投資銀行や安定化基金を設け、鉱物やエネルギーなど戦略的資源の備蓄でも協力する。

経済面で対露協力を強めるとの見方もある。英誌エコノミスト(電子版)によると、ニジェールは原子力発電所で使われるウランの世界屈指の生産国で、欧州のウラン需要の25%を供給していた。しかし、6月には仏国営企業の採掘権を取り消しており、露国営企業に権利を与えることが懸念されているという。

軍事面でも対露傾斜が鮮明

軍事面でも対露傾斜は鮮明だ。ニアメーの空港近くにある空軍基地では7月7日、軍政の求めに応じて駐留米軍が撤収を完了した。基地は露軍が軍事教練のために使用するという。

米軍はニジェール中部アガデス近郊の空軍基地も使用し、無人機でサヘル地域のイスラム過激派を監視してきたが、8月には撤収に追い込まれる公算だ。3カ国に駐留してきた仏軍は23年までに撤収している。

サヘル地域ではスンニ派過激組織「イスラム国」(IS)や国際テロ組織アルカーイダ系の組織が勢力を広げており、米仏の撤収で野放しになることが懸念されている。エコノミストは前出の記事で、イスラム過激派関連の事件で昨年は1万1000人以上が死亡したとし、「サヘルはいまや世界におけるテロ攻撃の中心地だ」と評した。

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