イスラエルでネタニヤフ首相への不満が過去最大規模に 戦闘継続の方針は貫くとの観測も
産経ニュース / 2024年9月3日 19時14分
イスラエル各地で2日、イスラム原理主義組織ハマスに拘束されている人質の早期救出を求める大規模デモが行われた。デモやゼネストは、イスラム原理主義組織ハマスとの戦闘を指揮するネタニヤフ首相への不満が過去最大規模に膨れ上がったことを示した。ただ、2日の記者会見で同氏は、後ろ盾の米国が仲介する停戦も事実上拒否する意向を示しており、戦闘継続の方針を貫くとの観測もある。
ネタニヤフ氏の支持率はハマスに奇襲を許した昨年10月から低迷していた。しかし今年8月上旬に地元紙が行った世論調査では、中道右派の野党を率いる政敵、ガンツ前国防相の40%を上回る42%を獲得した。イスラエルは関与の有無についてコメントしていないものの、7月末にハマスの最高指導者がイランで殺害されたことなどが評価されたとの分析も出た。
ネタニヤフ氏に対する国民の支持回復の兆候は、6人もの人質が遺体で発見されたことで再び怒りへと変わった。ただ、2日付の英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)は、同氏が方針を変えるほどの圧力になるかは不透明だと報じた。
イスラエルの世論調査では、人質救出のためハマスと停戦で合意するよう求める声が以前から多数派だった。一方、連立政権に加わる対パレスチナ強硬派の極右政党とその支持層は「ハマス壊滅まで戦闘を続けるべきだ」と主張する。「ハマスとの共存」に懐疑的な国民も少なくないとみられ、世論の分断は著しい。これがネタニヤフ政権が崩壊しない一因とされる。
米紙ワシントン・ポスト(電子版)は1日付で、バイデン米政権などがイスラエルとハマスに近く示すとされる新たな合意案は停戦の「最終提案」で、双方が受諾しなければ米国の調停は終了する見込みだと報じた。両者の戦闘がなお続く可能性は否定できない。(カイロ 佐藤貴生)
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