外信コラム 千夜一夜 中東の暑い夏 日中は外出する生活の知恵

東京で暮らす筆者の家族は、「暑い」とよく電話口でぼやいているが、駐在するエジプトの首都カイロも暑い。４０度を超える日もあり、日なたを歩くのはつらいので、食材などの買い物は涼しい早朝に済ませる癖がついた。寝苦しさではカイロも負けていない。

冷房の効きがよくないので扇風機も一緒につけて横になるのだが、数時間すると体が冷えて目が覚める。冷房を止めて再び寝ると今度は暑くて起きてしまい、また冷房を入れ直す。毎晩、これを繰り返しているうちに朝がくる。

支局で働く３０代の女性に尋ねたら、「子供が２人いるので夜は冷房をつけっぱなしにせざるを得ない。電気代は高くなる一方なので、節約のため日中は外出して冷房が効いている場所に行く」と話した。

経済低迷が続くエジプトの中央銀行は３月、国際通貨基金（ＩＭＦ）の融資枠拡大と引き換えに為替相場の管理を緩和し、通貨が対ドルで急落した。物価高も続き、子供や高齢者がいる家庭には、この夏の猛暑は格別に厳しいことだろう。

もっとも、サウジアラビアの首都リヤドに出張したとき、地面を触ったらやけどするかと思うほど熱かった。イラク北部アルビルでは屋外の方がサウナより暑く感じられ、驚いたことがある。カイロはまだましなのかもしれない。（佐藤貴生）