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パリ五輪でイスラエル選手団の安全に懸念 殺害予告や個人情報流出、憎悪犯罪の疑いも

産経ニュース / 2024年7月31日 16時34分

26日、パリ五輪の開会式で、セーヌ川を船でパレードするイスラエル選手団(AP)

【パリ=板東和正】パリ五輪で、イスラム原理主義組織ハマスと戦闘を続けるイスラエルの選手団の安全が脅かされる事案が相次いでいる。選手団は殺害予告や個人情報流出などにさらされ、競技会場で反ユダヤ的な憎悪犯罪(ヘイトクライム)の標的にされた疑いも浮上。スポーツによる団結をうたう祭典に政治対立が影を落としている。

「最も標的にされる代表団」

フランスの検察当局は7月28日、イスラエル代表団の選手3人が殺害予告のメールを受信したとし、特定の人種への差別や憎悪を動機とする脅迫の疑いで捜査を開始したと発表した。前日の27日には、捜査当局が五輪開幕に合わせて訪仏したイスラエルのヘルツォグ大統領への攻撃をX(旧ツイッター)で呼びかけた疑いがあるとして、15歳の少年を拘束した。

開会式が行われた7月26日には、イスラエル選手の血液検査の結果のほか、インターネット上のサービスに接続するためのパスワードなど個人情報が交流サイト(SNS)上で無断公開された。イスラエル政府のサイバー部門はイランのハッカーが関与した可能性があるとしている。

パリ五輪で仏政府はテロ防止を重要課題の一つとしており、イスラエルは「最も標的にされている代表団の1つ」(暫定内閣のダルマナン内相)とされている。

選手は「政治よりスポーツを」

競技会場では観客からイスラエル選手団にやじや罵倒の声も上がる。開会式に先立って行われた7月24日のサッカー男子の対マリ戦では、イスラエル国歌斉唱の際にやじが飛び、競技中にパレスチナ旗を掲げる観客がいた。同月27日の対パラグアイ戦では、パレスチナの旗を持った一部の観客がイスラエル選手に向け「ジェノサイド(集団殺害)五輪」と書かれた横断幕を掲げた。反ユダヤ的な行動をした観客もいたとみられ、仏当局はヘイトクライムの容疑で捜査している。

イスラエル選手は今後の五輪期間中、柔道や水泳などの競技で出場が予定されており、仏政府は選手団の警備を24時間態勢で継続。イスラエルの治安機関シンベトも警備に協力している。

一方、イスラエル選手の一人は欧州メディアに「スポーツが政治よりも優先されることを望んでいる」と強調。戦争やイスラエルに対する批判に左右されずに五輪の競技に純粋に取り組みたいとの思いを吐露した。

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