ラクダのように一歩ずつ復興を
産経ニュース / 2024年12月20日 7時0分
約13年の内戦の末にアサド政権が崩壊したシリアに来ている。中東に駐在していた2012年、初期段階の内戦を取材するために入って以来だ。
まず足を運んだ場所の一つが首都ダマスカス近郊のドゥマだ。反体制派の拠点だったことから、政権軍の化学兵器を含む激しい攻撃を受けた。無傷の建物はないと言っていいほどの破壊の痕が広がるが、中心部にはにぎやかな市場が立つ。
そんなドゥマの名物はラクダ料理で、精力がつくといわれているらしい。さっそくラクダ肉を供する食堂の暖簾(のれん)をくぐった。
ぶつ切りにした赤身の串焼きはかなりのかみ応え。なのに、コブの脂身を混ぜたひき肉のケバブは柔らかくジューシー。違う食感が食欲をかきたててくる。
店主によれば、イスラム教の預言者ムハンマドが「年に1度はラクダを食べると良い」と言ったとの伝承があるという。ラクダのオスはメスを大事にするので、食べると「夫婦仲が良くなるんだよ」と笑う。
砂漠を渡るラクダは「辛抱強さ」のシンボルでもある。「だからドゥマは激しい弾圧にも抵抗を続けたんだ」なんて冗談も聞いた。
独裁体制が崩れたシリアが今後、順調に国際社会に復帰していけるかはまだ見えない。ラクダのように一歩ずつ復興を歩んでほしいと願った。(大内清)
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