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保守強硬派がポスト維持か イラン大統領選28日投票 「誰が大統領でも国よくならない」

産経ニュース / 2024年6月25日 18時28分

街頭に掲示された大統領選の候補者のポスター=24日、テヘラン市街(佐藤貴生撮影)

ヘリコプターの墜落で事故死したイランのライシ大統領の後任を選ぶ大統領選の投票が28日に迫った。立候補した80人の大半が当局の事前審査で失格となり、出馬が認められたのは6人だけ。そのうち5人は欧米との融和に否定的なライシ師と同様の保守強硬派が占めた。首都テヘランで有権者に聞くと、「改革は望めない」などと政治への失望感を強め、投票をボイコットすると打ち明ける人たちがいた。

24日に訪れたテヘランの繁華街で、設置されていた掲示板には、まばらに候補者のポスターが貼ってあるだけ。食品などのデリバリーで日銭を稼ぐモフセンさん(38)は、「誰が大統領になっても国はよくならない。かといって体制を批判すれば、すぐ投獄されてしまう」とこぼした。

ヤミ両替を営むレザさん(48)は「この国には夢も希望もない。政府は米国の経済制裁に対応できず、物価高が深刻で暮らしていけない」と憤った。モフセンさんもレザさんんも投票に行く予定はないと口をそろえた。

80人の立候補者の適性を審査し、6人に絞り込んだ「護憲評議会」は、メンバー12人のうち6人が最高指導者ハメネイ師が任命する聖職者で、保守派の影響下にある。

出馬が認められた保守強硬派5人で支持を集めそうなのが、ガリバフ国会議長と、アフマディネジャド元大統領時代に核交渉を担当したジャリリ氏だ。ガリバフ氏は政界に影響力を持つ革命防衛隊の元幹部。ジャリリ氏は最高安全保障委員会の元事務局長でハメネイ師の信頼が厚いとされる。

ただ、保守強硬派を巡っては、自由や民主化の障害になっているとして投票自体をボイコットする市民が増える傾向がある。ライシ師が当選した前回2021年の大統領選は投票率48・8%と革命以降で最低となった。

改革派からはペゼシュキアン元保健相が唯一、出馬する。外科医から政界に進出し、対米関係改善などを訴える。勝利には保守強硬派の支配を嫌う若年層やリベラル派の選挙参加が不可欠だが、体制への批判票を集め善戦するとの見方もある。

一方で保守票が割れるのを防ぐため、ガリバフ氏やジャリリ氏が投票直前に出馬を取りやめて一本化を図る可能性も残っている。

イランでは大統領は行政の長に過ぎず、国政全般の決定権は最高指導者が握る。ハメネイ師は推定84歳の高齢で、国民の不満が広がる中でも、反米の保守強硬派による支配を次世代に引き継がせる意向とみられる。ライシ師は5月中旬、搭乗したヘリコプターがイラン北西部の山岳地帯で墜落して死亡した。(佐藤貴生)

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