4月のイスラエル攻撃は自制して実施 対米関係は「米大統領選次第」 イラン防衛隊元幹部
産経ニュース / 2024年6月29日 16時22分
イラン革命防衛隊の元幹部、キャナニモガッダム・ホセイン氏が28日までに産経新聞の取材に応じ、イランが4月に行ったイスラエルへの攻撃は「演習のようなものだった」とし、深刻な被害が出ないよう自制したとの見方を示した。また、イランが支援するレバノンの親イラン民兵組織「ヒズボラ」はイスラエルの安全を脅かす存在になっているとして評価した。
イランは4月中旬、在シリアのイラン大使館を空爆し革命防衛隊の司令官らを殺害したのはイスラエルだと断定し、報復として300超の無人機やミサイルでイスラエルを史上初めて直接攻撃した。
ホセイン氏は「在外公館はイランの重要施設で、守るべき対象だ。イスラエルがレッドライン(超えてはならない一線)を超えた」と攻撃の正当性を強調した。
一方で、「攻撃は軍事基地に限定して人口密集地や工業地帯を狙わなかった。いわば演習のようなものだった」と語り、「イランはイスラエルと直接戦争することは望んでいない。ただ、イランには5万発のミサイルも控えている」と述べ、イスラエルにイランを挑発しないよう求めた。
他方で、イランが支援するヒズボラのミサイルや無人機は「イスラエル北部のハイファや西部のテルアビブに到達する可能性がある」と述べた。米メディアは6月、イスラエルの防空システム「アイアンドーム」はヒズボラの攻撃を阻止できない恐れがあるとし、米政府高官が懸念を示していると報じた。
イランでは28日に大統領選が行われた。ホセイン氏は「(米国で)トランプ氏が大統領に就任すれば、イランでだれが大統領になろうと交渉を行わず、制裁を強化するだろう」と述べ、両国関係は米大統領選の結果次第だとの見方を示した。(テヘラン 佐藤貴生)
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