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南アフリカ「連立合意」 ANCとリベラル政党 ロイター報道

産経ニュース / 2024年6月14日 21時20分

【カイロ=佐藤貴生】南アフリカで14日、5月29日の総選挙の結果に基づく新たな下院(定数400)が初招集された。故マンデラ大統領の名門政党「アフリカ民族会議」(ANC)は159議席で第1党を維持したが、30年ぶりに過半数を割り、連立協議が行われた。ロイター通信は白人が支持基盤のリベラル派の最大野党「民主同盟」(DA)がANCとの連立政権樹立で合意したと伝えた。

南アはアフリカ屈指の経済大国。中露やインドなど非欧米諸国でつくる「BRICS」の一角を占めており、グローバルサウスの国として国際社会でも存在感を強めている。

14日は大統領も選出される予定で、ANCが支持するラマポーザ大統領が続投を決めるとの観測がある。大統領は下院の過半数の賛成で選出される。

連立協議では、87議席で第2党となったDAの幹部が「14日未明に連立入りで最終合意した」としつつも、さらに政策やポスト配分などを協議すると示唆していた。ANCとDAは長くライバル関係にあり、互いへの警戒感もみられたが、DAは下院副議長のポストを得たもよう。

ANCとDAが連立を組めば過半数に達するが、17議席で第5党となった保守系「インカタ自由党」(IFP)なども連立に加わるとの観測が出ている。

ANCの支持者の間では、DAは「白人の利益の守護者」とみなされて人気がない。黒人民族ズールー人主体のIFPが加わることで白人色が薄まり、ANC指導部の懸念が和らぐとの見方が出ていた。

市場開放を支持するDAは、実業界や海外の投資家の支持を集めている。連立入りするとの報道を受け、南アの通貨ランドを買う動きが広がった。

一方、39議席で第4党となった黒人主体の「経済的解放の闘士」(EFF)は、白人の土地接収を主張する急進派で、連立入りすれば経済・投資環境が悪化すると懸念されていた。

また、58議席を得て第3党に躍り出た新党「民族の槍」(MK)は、汚職疑惑で批判が高まり2018年に辞任したズマ前大統領が率いる。MKは選挙で不正があったとして下院の開会を阻止しようとするなど、既存の政治勢力に対抗する姿勢を示しており、今後の不安定材料となりそうだ。

マンデラ氏が率いたANCはアパルトヘイト(人種隔離)を軸とする白人支配の打倒に大きな役割を果たしたが、近年は汚職疑惑が相次いだほか経済低迷も打開できず、国民の不満が高まっていた。

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