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残る爪痕、再建見通せず ハマスが襲撃したガザ近くのキブツ

産経ニュース / 2024年10月7日 9時13分

息子タミルさんが人質になり、集会で心中を語る母のへルート・ニムロディさん=9月18日、イスラエル西部テルアビブ(佐藤貴生撮影)

イスラム原理主義組織ハマスの戦闘員に昨年10月7日、襲撃されたイスラエルのキブツ(集団農場)にはいまも当時の爪痕がまざまざと残り、復興が進まない現実を示していた。多くの住民はキブツから引っ越しており、再建の是非が問われる事態になっている。

イスラエル政府が9月30日、外国報道陣を対象に行ったプレスツアーに参加した。訪れたクファルアザ・キブツはハマスが実効支配していたパレスチナ自治区ガザまで1キロほどの距離で、千人いた住民は60人前後まで減った。60人以上が殺害され、5人が人質としてガザで拘束されている。

「数百人の戦闘員が来て、住宅などが2日間ほど占拠された。写真を見て何が起きたか、後から知った。性暴行もあったと思う」。案内してくれた住民で弁護士のゾハル・シパクさん(58)が言った。犠牲者を代表してオランダ・ハーグの国際刑事裁判所(ICC)に、襲撃を証明する証拠を提出している。

ガザとの境界に近い地区では、20軒ほどの住宅が焼けこげたりして激しく損傷していた。キブツを再建するかは「まだ決まっていない」(シパクさん)という。住宅など施設の再建には費用もかかるが、襲撃当時の記憶を思い出すことも苦痛なのだろうと思った。

次に訪れたニルオズ・キブツには400人ほど住民が住んでいたが、うち117人が殺害されたか人質として連行された。いまも28人がガザにいる。全住宅の8割が破壊され、人はほとんど住んでいないという。

それでも、案内してくれたリタ・リフシッツさん(60)は「再建する」と強調した。親イラン民兵組織ヒズボラとイスラエル軍が戦うレバノンの情勢に焦点が移る中、「世界は人質が拘束され続けている事実に目を向けるべきだ」と訴えた。

ニルオズ・キブツの訪問中にはミサイルの発射音らしき轟音(ごうおん)が何度も聞こえ、上空を飛ぶ戦闘機の姿もあり、軍のガザ攻撃が続いていることを示していた。

近くにはハマスに襲撃された屋外ライブ会場もあった。殺害されたり人質として連行されたりした人々の多数の写真が飾られ、訪れる人々は悲痛な表情で1人ひとりの写真を見つめていた。(テルアビブ 佐藤貴生)

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