ケニアでデモ隊が議会突入 増税に反対、発砲で５人死亡 大統領は鎮圧の意向

アフリカ東部ケニアの首都ナイロビで２５日、増税法案に反対するデモ隊の一部が暴徒化し、議会に侵入を図るなどして治安部隊と衝突した。デモ参加者のうち少なくとも５人が発砲を受けて死亡し、３０人以上が負傷した。ロイター通信が伝えた。

ルト大統領は２５日、増税を巡る議論は「危険な者たちに乗っ取られた」と述べてデモ隊を非難し、秩序回復に向けて鎮圧する意向を示した。

デモ隊は議会の敷地内に侵入し、建物の一部が燃えている。軍も出動した。議会内にいた議員らは地下トンネルで避難したもようだ。国内全域でインターネットが不通となったが、原因は不明。

副大統領だったルト氏は２０２２年の選挙で勝利して大統領に就任。国の負債の利息で財政が圧迫されていることを受け、国際通貨基金（ＩＭＦ）などが財政状況の改善を求めていた。

デモは先週に本格化しナイロビ以外にも拡大。デモ隊は当初、増税法案への反対に主張を絞っていたが、野党とともにルト氏に退陣を迫るなど要求のハードルを上げた。ケニアに駐在する米英独の大使らは事態に深い懸念を表明し、自制を呼びかける共同声明を出した。（テヘラン　佐藤貴生）