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イラン聖地・コムでは保守強硬派支持が大勢 世俗派との分断浮き彫り 大統領選ルポ

産経ニュース / 2024年6月26日 18時51分

ヘリコプターの墜落で事故死したライシ師の後継を選ぶイラン大統領選の投票が28日に迫る。イスラム教シーア派の聖地があり保守的な土地柄で知られる中部コムを訪れると、反米の保守強硬派の候補を支持する声が多く聞かれた。投票ボイコットを公言する世俗的な住民もいる首都テヘランなどとの隔たりは大きく、宗教や政治を巡る国内の分断の深刻さが浮き彫りになった。

「革命引き継ぐ人でなくては」

25日、テヘランから車で南へ2時間半走り、コムに到着した。1979年のイスラム革命の震源地となったコムには、シーア派の第8代イマーム(指導者)の妹を追悼する聖廟や神学校などがあり、海外からも巡礼者や留学生が訪れる。

取材に応じた人々の多くは、かつて核交渉を担当し、欧米に厳しい姿勢を示す最高安全保障委員会のジャリリ元事務局長に投票すると話した。

タクシー運転手のサイエドさん(45)は「ジャリリ氏は民衆の立場を理解している。欧米との関係はすでに悪化しており、誰が大統領になっても変わらない。米制裁の下でも何とかやっていける」と話した。

イラクとの戦争(1980~88年)を前線で戦ったという商店主のジャファルさん(63)は、「革命は現在も進行中で、大統領はそれを引き継ぐ人でなくてはならない」と述べ、ジャリリ氏の名を挙げた。

「欧米と友好を」と語る聖職者も

一方で、聖職者の中に改革派候補のペゼシュキアン元保健相に投票すると話した人がいた。70歳の男性聖職者で、元保健相は「頭がさえており、論理的で誠実だ」と前向きに評価した。その上で、「イランは欧米と友好関係を築くべきだ」と述べ、政界を支配する保守強硬派の方針を批判した。

イランはシーア派の聖職者が統治する政教一致が国是であり、全般的に保守色が強い聖職者から変化を求める発言を聞くことはまれだ。この男性は「コムでは特に言いづらいことを話したので、氏名は明かさない」と語った。

2021年に大統領に就任したライシ師の任期中には、女性が頭髪を覆うスカーフ(ヘジャブ)の着用を拒否する大規模デモが起き、イスラエルと史上初めて相互に領土を攻撃し合うなど、体制を揺るがしかねない事態が相次いだ。聖職者の間にも、国の行く末を巡って危機感が芽生えていることをうかがわせた。(イラン中部コム 佐藤貴生)

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