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2つの戦争が「平和の祭典」パリ五輪を分断 ウクライナやガザ関係選手に厳しい感情

産経ニュース / 2024年7月24日 16時17分

コンコルド広場に作られた競技会場=23日午後、パリ(沢野貴信撮影)

【パリ=板東和正】ロシアによるウクライナ侵略や中東情勢の緊迫が続く中、パリ夏季五輪の競技が24日、開始する。五輪では、ウクライナと中東の戦争の渦中にいる国々の選手が参加する見通しで、出場をめぐり国際的な論争に発展。戦争の影が色濃く映し出された「平和の祭典」が各国の分断を深めている。

露選手に複雑な感情

「怒りをどのように抑えて、彼らを見ればいいのか…」

パリ五輪の陸上競技に出場するウクライナ代表のアンナ・リジコワ選手(34)は米メディアに対し、五輪に参加する露選手らへの複雑な思いを明かした。ロシアが2022年2月に開始したウクライナへの侵略では多くの自国の選手やコーチらも犠牲になった。自身の指導者も失ったというリジコワ氏は、同じ大会で露選手らと出場することに苦悩している。

国際オリンピック委員会(IOC)はロシアと同盟国ベラルーシの選手について、ウクライナ侵略を積極的に支持しないなどの条件を満たした場合のみ、個人の中立選手として五輪参加を容認した。両国からは計32選手がテニスや水泳などに出場する予定だ。

IOCは表彰式で両国の国旗を掲揚せず、国歌も流さない方針を示しているが、ウクライナ側は両国を五輪から完全に追放したい考えだ。ロシアにはソ連時代から国家主導でアスリートが育成されてきた歴史があり、ウクライナは露政府が個人の中立選手を政治宣伝に利用すると警戒する。

ウクライナ五輪委はパリ五輪に派遣される同国の140選手に対し、ロシアやベラルーシの選手との握手や写真撮影を含めた交流や接触の禁止を勧告した。

1972年の悪夢、テロ警戒

パレスチナ自治区ガザでイスラエルとイスラム原理主義組織ハマスの戦闘が続く中東情勢もパリ五輪に影を落とす。

イスラエルはパリ五輪に88人の選手を派遣し、24日には同国のサッカーチームが五輪の初戦を控えている。だが、パレスチナ五輪委は22日、パリ五輪に合わせた国連総会の休戦決議にイスラエルが従わなかったとして、イスラエルを大会から「直ちに排除」するようIOCに要請。フランスの左派野党議員もパレスチナ支持の立場からイスラエルの参加は「歓迎されない」と述べ、イスラエル選手に殺害予告などの脅迫が相次いでいる。

1972年のミュンヘン五輪では、パレスチナ過激派の襲撃によりイスラエル選手やコーチ計11人が殺害された事件があり、仏政府は同様のテロを警戒。イスラエル選手らを24時間体制で警備する方針を示している。

マクロン大統領は22日、「パリ五輪は平和や平等のシンボルになる」と訴えたが、仏政治専門家は「紛争をめぐる国際社会の分断が露呈する祭典になる」と指摘した。

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