川口クルド人の出身地域で発生のトルコ地震、進む復興住宅建設「あとはトルコ政府の問題」 「移民」と日本人
産経ニュース / 2025年1月3日 16時0分
5万人以上が犠牲となったトルコ地震は、2023年2月6日の発生から来月で2年となる。地震の被災地は埼玉県川口市に集住するトルコの少数民族クルド人の多くの出身地と重なっており、当時は川口へ避難した人々も多かった。現地では地震からの復興に向け、政府による住宅再建が急ピッチで進められていた。
立ち並ぶ復興住宅
地震の震源地の北東約90キロ。まだ各所に倒壊した建物のがれきが残るトルコ南部アドゥヤマン市の郊外に、真新しい復興住宅が立ち並んでいた。
同市を含むアドゥヤマン県は、被災11県のうち2番目に被害が大きかった。自宅が全壊し昨年6月に入居したという30代の男性は「多くの人が命を失った中、命が助かっただけでも幸せだった。このアパートもありがたい」。
マグニチュード(M)7・8を記録した巨大地震の犠牲者は、トルコ国内だけで5万3千人超にのぼり、建物30万棟が倒壊。家を失った人々は当初はテント生活、その後はコンテナ式の仮設住宅での生活を余儀なくされてきた。
男性も仮設住宅をへて家族4人で復興住宅へ入居。5階建てのアパートで、居間や台所のほか寝室が4室、トイレも2つある。
トルコ政府は復興住宅約41万7千戸の建設を計画。昨年12月1日時点で約15万5千戸が被災者へ引き渡された。今年の年末までに被災11県ですべての建設を終える目標という。
日本への避難「限定的」
アドゥヤマン県など今回の地震の被災地は、川口周辺に集住するクルド人の難民認定申請者の8割が集中する南部3県と重なる。
もともと彼らは川口の親戚や知人を頼って来日していたが、地震後は被災したクルド人やトルコ人らの来日が急増したとされ、23年になって川口でクルド人の一部と地域住民の軋轢が表面化した際も、地震が一因といわれた。
23年のトルコ国籍者の難民申請者は約2400人で前年の5・4倍に急増。ただ、入管関係者は「主因は新型コロナウイルス感染症の水際対策が段階的に緩和されたためで、地震の影響は限定的だった」という。
トルコ国籍者の大半とみられるクルド人の難民申請が激増したのは、新型コロナの水際対策が22年10月と23年4月に緩和され、「出稼ぎ」目的の来日が再開したためとみられている。
住宅支援、日本より充実
復興の鍵を握る住宅再建では、政府機関のトルコ住宅開発局(TOKI)が復興住宅を直接建てるほか、民間デベロッパーにも発注して迅速化を図っている。
また、自宅を再建する個人には75万リラ(約335万円)の補助金が支給され、同額の無利子融資が返済期間最長10年(猶予期間2年)で実施されるという。これは日本の被災者生活再建支援法による支援金(原則最大300万円)より充実している。
一方で、いまだに仮設住宅で暮らす被災者も多く、アドゥヤマン市の仮設で支援を続ける国連児童基金(ユニセフ)のトルコ人職員は「長引く仮設暮らしで精神面に課題が生じている」と指摘した。
日本政府は当初の緊急援助に加え、現在は中小企業支援や上下水道・住宅の再建などのため計800億円規模の円借款の供与を行っている。
現地のトルコ人記者は「日本をはじめ海外の支援には感謝している。もう外国の援助に頼る段階はすぎ、あとはわが国の政府の問題だ」と話している。
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