【view 写】岩手県山田町 祭りといかだは戻ったが…

産経ニュース / 2017年8月13日 12時47分

(産経新聞)

 ハーヨイコラサノサ。

 若者がみこしを担ぎ、街道を練り歩く。

 6日。岩手県山田町大沢地区で地元の魚賀波間(ながはま)神社のお祭りがあった。

 260年の歴史がある。東日本大震災で中断し、震災2年後に復活した。

 海の神。

 神主は神事で漁港の岸壁から海に頭を下げる。

 祈りの先に山田湾が広がる。多くの養殖いかだが浮かんでいる。その光景は町の代名詞と言っていい。

 町は養殖カキの産地で知られる。湾口が狭く、巨大ないけすのようだ。3本の川が植物性プランクトンを含む水を湾に流し込み、良質な生育環境をお膳立てする。

 いかだは震災前、4千台あった。津波で全滅したが、少しずつ復旧し、2200台に回復した。

 祭りといかだ。

 町は原風景を取り戻した。

 しかし。

 みこしを担ぐ若者の中に地元の人間は少ない。過疎化と高齢化で担ぎ手が足りなくなった。町の保存会のメンバーを助っ人に頼んで帳尻を合わせている。

 養殖漁師の平均年齢は62・2歳。新規就業者はゼロだ。平均年齢の引き下げに貢献する若者が集まらず、平均年齢は毎年1つずつ上がる。体力の衰えは避けがたく、生産量は将来も元に戻らない。

 川も震災で異変が生じた。大雨になると鉄砲水のように流れ、雨が去ると干上がる。豊かな海の立役者はその機能を低下させた。

 東北は前から過疎化と高齢化に直面していた。それが震災で一気に加速する。

 三陸地方の小さな被災地で復活した原風景は見掛けにすぎない。

 一皮めくると、地方の抱える問題が深刻化してのど元にあいくちを突き付けていた。(伊藤寿行)

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