「つえ」最初は抵抗あるけど…活動範囲広がります

産経ニュース / 2017年11月15日 9時52分

所狭しと並ぶつえ。ファッションとして楽しんでほしいという =京都市中京区のつえ屋丸太町本店

 「つえ」は不安定な歩行を支えてくれる道具。見た目などへの抵抗感から避ける人も多いが、専門家は「つえを使って楽に安全に歩くことは、活動範囲を広げ、新たな刺激を受けることにつながる」と訴える。専門店にはさまざまなデザインのつえがあり、お気に入りの相棒が見つかれば外出を楽しくしてくれそうだ。(藤井沙織)

 和柄も漆塗りも「らでん細工」も

 鮮やかな花柄や品のよい和柄、シックな漆塗り、貝殻の光沢が美しい「らでん細工」-。「靴や眼鏡のように、つえもファッションとして選んでほしい」。そんな思いから、専門店「つえ屋」(本店・京都市)は、バラエティー豊かな商品をそろえる。東京、大阪にも展開するリピーターの多い人気店だ。

 「家族に連れられ、しぶしぶ買いに来る方もいらっしゃいます」と話すのは営業部の清水柾士さん(50)。つえをついて歩くと年寄りに見えそうで嫌だという人のため、傘を持っているようにカムフラージュできるものも。だが最初は抵抗感があった人も、「歩くのが楽」「姿勢がよくなった」と実感するそうだ。

 素材はさまざまで、アルミは硬いが、価格は安い。一方で、カーボンファイバーは高価だが、軽くてしなるので手や腕への負担が小さい。グリップの形もそれぞれ異なるので、清水さんは「店で実際に触って選んでほしい」と話す。

 使い始める時期は?

 つえはいつから使い始めればいいのか。「100歳まで元気でいるための歩き方&杖(つえ)の使い方」(翔泳社)の著者で理学療法士の西野英行さん(35)によると「スーパーなどに歩いて行く際、途中で休憩が必要になったら」だそう。

 そのほか臨床経験から、パーキンソン病▽変形性膝関節症で膝が痛い▽脳卒中などの後遺症で足を振り出しにくい▽脊椎圧迫骨折などによる背の丸まり-を挙げる。

 ところがせっかくつえをついて歩いているのに、「かえって不安定になったり、姿勢が悪くなったりしている人もいます」(西野さん)。インターネットやホームセンターで買うと、正しい使い方を教わる機会がないためだ。

 弱い足とは反対側の手に持つ

 まずは持ち方。西野さんによると、左右どちらかの足が弱っている場合は、必ず弱い足とは反対側の手に持つ。次に長さの調整。自然に立った状態でつえ先を足先から前に20センチ、外側に20センチの位置についたときに、肘が30〜40度曲がる長さが目安という。

 歩き方は、つえと弱い足を同時に出し、次に強い方の足を出す「2動作歩行」=同2=がスタンダード。病気の後遺症などで足が振り出しにくい場合は最初につえ、次に弱い足、強い足の順で歩く「3動作歩行」にする。荷物で両手がふさがらないよう、リュックサックなどを使うのがお勧めだ。

 西野さんによると、リハビリ現場では「自分の足で歩かないとだめだ」と、つえなどの補助具に抵抗を示す人が多いという。だがつえで楽に歩けるようになり、歩く距離が長くなれば活動範囲が広がり、やりたいことも増える。西野さんは「つえのような道具は、体と心を動かす助けになる。ポジティブに捉えてほしい」と願っている。

産経ニュース

トピックスRSS

ランキング