氾濫する医療情報を見極めよう 学ぶタイミングは5〜6歳が最適

産経ニュース / 2017年11月15日 11時47分

NPO法人からだフシギのおはなし会で、消化器系の配置を表したTシャツを触り、小腸の長さなどを体感する幼児ら (同NPO提供)

 医療情報が氾濫する中、自分の健康を自分で守るために情報を見極める「ヘルスリテラシー」の重要性が増している。子供のうちから体について学んでもらおうと、聖路加国際大学発のNPO法人からだフシギは、5〜6歳を主な対象に健康教育のおはなし会を実施している。この年齢は体のことに興味を持ち始め、素直に話を聞いてくれる、最適なタイミングだという。(松田麻希)

内蔵Tシャツにくぎづけ

 「神経はどこでもつながっているの?」「(小腸より)大腸はちっちゃい!」。同NPOが開催する「からだのおはなし会」では、子供たちから盛んに声が上がる。

 体を消化器系、呼吸器系、泌尿器系など7系統に分け、そのうち1つを1回のテーマとして扱う。いくつかをシリーズにしておはなし会を実施することで理解を深める。たとえば、骨を扱った回の後に、脳や神経系を学べば、大事な脳を守るために頭蓋骨があることが理解できる。

 絵本や紙芝居のほか、消化器が体に収まっている様子を表した「内臓Tシャツ」を使って子供たちを引きつける。聖路加看護大学(現聖路加国際大学)の教職員や学生が主体となって活動を始め、これまで図書館や保育園、幼稚園で会を開催してきた。

 まなびの森保育園勝どき(東京都中央区)では、年中と年長の園児向けに10〜12月に3回シリーズでおはなし会を開催。10月のテーマは「骨と筋肉」。骨のパーツをタペストリーに貼って骨格を作り上げるゲームなどを通して、体の仕組みを学んだ。

 保護者からは「家庭でも、『ここは硬いから骨だね』『(骨は)大事な所を守ってるんだ』といった会話が増えた」(6歳女児の母)との声も。同園の藤田美樹園長は「想像以上に子供たちは真剣に取り組んでいた。会の後は、お友達と筋肉を触り合う遊びや筋トレがはやったほど」と話した。

 同NPOメンバーで東京医科大学講師の瀬戸山陽子さんは、これまでのおはなし会の効果について、「脳は豆腐のように柔らかいことを実際に豆腐を使って教える。友達の頭をたたいてはいけないとよく分かるので、暴力的なところがあった子供も手が出ないようになった」と話し、自分だけでなく、他人も大事にできるようになったという。

 小学生になると照れてふざけちゃう

 なぜ、5〜6歳が対象なのか。健康を守るためには、病を得たり健康リスクを抱えたりする前に、体についての知識を身に付け予防することが肝要だ。スマートフォンの普及で若年層にも誤ったダイエットや健康法の情報が伝わりやすくなった今、ヘルスリテラシーを磨くのは「大人になってからでは遅い。子供のうちから知識を身に付けてほしい」と瀬戸山さんは語る。

 同NPOの母体となった聖路加国際大学からだ教育研究会の調査で、この年齢の子供たちは、体の部位の名称を理解し、心臓や脳、血液といった体の内部についてもイメージをつかめることが分かった。「かなりの理解力がありながら恥ずかしがらずに素直に聞いてくれる」(瀬戸山さん)。これが小学生になると、照れてふざけたりしてしまいがちという。

 より多くの子供たちに健康教育を届けたいと、同NPOでは体の知識を教える「からだせんせい」を養成する研修会を実施。保育士や看護師、保護者らが参加し、おはなし会のポイントや教材の使い方などを学ぶ。また、教材として絵本や紙芝居を刷新し、年内に一般に発売する計画だ。

産経ニュース

トピックスRSS

ランキング