目の前で火事が! 吹き出す炎、せき込む音まで再現 埼玉県警初の「VR避難訓練」を記者が挑戦 

産経ニュース / 2018年1月13日 13時32分

初めて仮想現実(VR)を利用した避難訓練を体験する参加者=12日、埼玉県警鴻巣署

 昨年末に発生したさいたま市大宮区の性風俗店火災や東京都の渋谷駅周辺で発生したビル火災などを想定して、鴻巣署は12日、県警で初めて仮想現実(VR)を利用した避難訓練を実施した。2次災害の発生を防ぎながら、救出する難しさを体験することが狙いだ。最新技術を駆使した訓練に挑戦した。(宮野佳幸)

 手渡されたヘッドホン付きゴーグルを付けると、前後左右にビルの火災現場の映像が映し出された。廊下には砕け散ったガラス、天井からはオレンジ色の炎が吹き出している。手元にはチェック柄のハンカチの端が見える。火災時には、煙を吸い込まないようにするのが基本だ。

 訓練は、ビル内に設置された誘導灯を手がかりに進み、2分間で避難する想定。進みたい方向に顔を向け、コントローラーを前に倒すと移動できる仕組みだ。

 初めは立ったままで進もうとしたが、濃い黒煙に覆われて視界が悪い。煙のせいだろうか、ヘッドホンからせき込む音が聞こえる。設定のリアルさに驚いていると、「しゃがんでください」と目の前に文字が浮かび上がった。指示に従って実際にしゃがむと視界が少し開け、緑に光る誘導灯が見えた。避難経路を示す矢印を頼りに先を急ぐ。

 「間違えてますよ」。VR機器を開発した「理経」(東京都新宿区)の担当者に指摘されたのはゴール手前。制限時間が迫る中、誘導灯を見逃し、非常口を通りすぎていたのだ。慌てて引き返し、残り数秒で“生還”した。

 「訓練だから失敗した方がいい」と話すのは同署の神岡正彦警備課長。練習で失敗を積み重ねることで、間違いやすいポイントを確認することができるのだろう。いずれにせよ、実際の火災現場で誘導灯を冷静に見つけながら進む難しさを体感することができた。

 この日の訓練には、同署員のほか、県央広域消防本部などから約40人が参加。VR避難訓練だけでなく、AED(自動体外式除細動器)による心肺蘇(そ)生(せい)や簡易担架を使った救出などの訓練も合わせて行った。

 同署の米山和仁署長は「災害時は想定外のことでパニックになる。想定外のことを少なくするために、多方面の技術を使った訓練に今後も取り組みたい」と話した。

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