相続税払い過ぎかも 5年以内なら還付も

産経ニュース / 2018年7月13日 11時2分

税理士法人「アレース」、保手浜洋介代表

 平成27年施行の税制改正で基礎控除額が引き下げられ、以前より身近になってきた「相続税」。自分で財産を評価して申告するが、相続財産の中で大きな比重を占める不動産の価値を正しく評価することは難しい。このため、税理士に依頼して手続きをしても、相続税を払い過ぎていることがあるという。相続専門の税理士法人「アレース」の保手浜洋介代表に、適正申告のポイントを聞いた。(油原聡子)

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 亡くなった人から財産を相続するとき、財産の評価額が基礎控除の額を超えていた場合に発生するのが相続税だ。行政が計算して課税額を決める「固定資産税」などとは違い、自分で財産を評価し、税金を納める仕組みとなっている。

 相続税を支払う人は増加傾向にある。国税庁によると、28年に亡くなった人約131万人のうち、相続税の課税対象となったのは、前年を約3千人上回る約10万6千人(約8%)に上った。

 こうした中で、最近関心が高まっているのが、相続税の払い過ぎだ。

 保手浜代表は「日本の相続税は特殊な仕組み。相続財産の評価が決まったら、家族構成で相続税の総額が決まる。税理士に任せて申告するケースが多いが、相続税申告の経験が乏しい税理士が圧倒的に多く、財産評価が不十分なケースが目立つ」と問題提起する。

 ◆難しい土地の評価

 相続税の申告は、亡くなってから10カ月以内に行うが、税務署は、納税義務者が税額を過大に申告していても、基本的には教えてくれないという。

 しかし、相続税申告期限から5年以内は、評価を適正にし直すことで、過払いの税金について還付手続きが可能だ。保手浜代表は「事務所に相談があったケースの8割で過払いが発生していた」と言う。

 財産の評価は、国税庁の財産評価基本通達などに基づいて行われる。相続財産で最も多いのは土地で、過払いが多いのも土地だ。土地の計算は複雑で、本来低く評価すべき土地を高く評価した結果、相続税を過払いしているケースが見られるという。

 保手浜代表は「土地は路線価や面積だけで単純に算定できるわけではない。土地の個性を勘案した評価が重要」と指摘する。

 ◆現地調査も必要

 過払いになりやすいのは、どんな土地だろうか。三角形の土地や、通路の奥に土地がある旗竿(はたざお)地などのいびつな土地などは、評価額を減額できる要素だという。

 29年12月末以前に相続税が発生した場合には、「広大地」も過払いの原因の可能性がある。その地域の一般的な宅地に比べて広大な土地の場合は、評価が減額できるからだ。

 保手浜代表は「適正な評価には、近くに墓地や鉄道路線の有無、騒音の状況など、現地に足を運んで確認することが必要。役所での調査も不可欠だ」と話す。

 アレースで手がけたある案件では、調査の結果、減額できるポイントの一つである「建築基準法上の道路ではない道路」と接していたことが分かり、当初支払っていた1200万円のうち、900万円が還付されたケースも。また、土地の相続税は税額が大きくなることが多く、最大2億円の還付となった案件もあったという。

 保手浜代表は「これから相続を考える人も、資産に詳しい税理士や、不動産鑑定士と連携している税理士事務所などに相談すると、適正な申告につながる可能性がある」と話している。

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