福島県民の警察官2氏の横顔 相馬署捜査第2係長、加勢和敏警部補・福島署地域課、梅津浩治巡査部長

産経ニュース / 2019年2月12日 17時27分

「第34回福島県民の警察官」受章が決まった、南相馬署捜査第2係長の加勢和敏警部補=5日午後、同署(内田優作撮影)

 県民の安全のために尽力する警察官を表彰する「第34回福島県民の警察官表彰」(産経新聞社、福島テレビ共催)の表彰式が15日、福島市のホテル辰巳屋で開かれる。「県民の警察官章」受章者の南相馬署捜査第2係長、加勢和敏警部補(59)と福島署川俣分庁舎山木屋駐在所主任の梅津浩治巡査部長(55)の横顔を紹介する。(内田優作)

 加勢和敏警部補、じっくり落とす

 昭和53年に巡査拝命。以来、40年以上の職務のうち21年は刑事部門で活躍、特に暴力団対策の現場で抗争や「みかじめ料」の徴収などの市民への脅威に立ち向かってきた。捜査だけではなく、歓楽街のパトロールをはじめ暴力団排除運動にも精力的に取り組む。

 相馬署時代(平成22年~27年)には東日本大震災に遭遇し、津波に見舞われた街で遺体の回収作業に当たった。「小さい子から、お年寄りまでご遺体が街中にある。信じられない気持ちだった」

 数多くの現場を踏み、経験は豊富だ。現在は係長として後進への指導にも当たる。「若い人は罪も人も一緒で、取り調べで頭ごなしに話をしようとしてしまう」。そんなときには自らの信条を説く。「頭ごなしに話すのではなく、なぜ、そうなったのか、相手のことを理解する調べをしなければ」

 暴力団員への捜査は難しい。「個人ではなく組織でやるから、なかなかしゃべらない」。組織犯罪対策課時代、ある殺人事件の容疑者を取り調べた。遺体を土中に埋める作業に関わった男は仕事柄知っていて、逃亡先の北海道苫小牧で逮捕した。取調室で向き合った男は、雑談には応じても肝心の事件のことになると口を閉ざす。責めず、相手に語りかけること3日、「言うしかないですか」「当たり前だ」「埋めました」。思いが通じ“落ちた”瞬間だった。

 「罪を憎んで人を憎まず。人は人だ」。ベテラン刑事が会得した捜査の要諦であり、人生観でもある。

 梅津浩治巡査部長、垣根作らぬ駐在さん

 東京電力福島第1原発事故で一時、全域避難をしいられた川俣町山木屋地区に平成29年3月末の避難指示解除とともに着任し、日夜地域の安全のために働く。

 巡査拝命は昭和60年。約33年の警察官人生のうち、18年は猪苗代署裏磐梯駐在所を皮切りとした5カ所の駐在所で過ごした。

 地域に根付く駐在所には、さまざまな出来事が起こる。福島北署桑折分庁舎大木戸駐在所時代には、目の前の国道で2日間、豪雪により車両が立ち往生するパニックが起きた。おにぎりを出すなど救援に当たった後、「お世話になりました」と駐在所を訪ねる人があった。運転手の1人だった。 

 山木屋地区は川俣署時代にもしばしば巡回し、なじみがあった。「解除2日前に着任しましたが電気もなく真っ暗。さびしかった」

 人が戻る上で治安確保は最大の課題だ。山木屋地区では震災後、5年で28件の事件が起きていた。「(29年9月には)国道114号が全線再開して人が入りやすくなった」。犯罪リスクが高まる中で管内を地道に巡回、着任後の事件は1件のみに。「車のスピードが速く不安だ」という声があればパトカーで警戒、大事故を防いだ。

 妻の恵美子さん(53)の「人に垣根をつくらない。駐在さんに向いていると思います」という評価通り、仕事で心がけているのは「明るく自然体の対応」だ。「明るくやれば、相手も明るくなる。笑う門には福来たる」。快活な笑い声が駐在所に響いた。

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