戦後フィリピンに残された日系2世、無国籍状態の人も 東京・新宿で歴史たどる展示会

産経ニュース / 2019年5月16日 16時2分

フィリピン・バギオ市の小学校入学式。日米開戦前のためアメリカの星条旗も掲げられている(NPO法人フィリピン日系人リーガルサポートセンター提供)

 新天地を求めて戦前にフィリピンへ移住した日本人と現地人との間に生まれた「フィリピン日系2世」の歴史や現状を紹介する展示会が17日から、東京都新宿区のエコギャラリー新宿で開かれる。戦後に親が強制送還され、苦労を重ねてきた2世は高齢化し、日本、フィリピン双方の国籍がない「無国籍状態」の人も多数いる。関係者は「忘れられた日本人の存在を知ってほしい」と訴える。

 展示会を共催するNPO法人「フィリピン日系人リーガルサポートセンター(PNLSC)」によると、日本人のフィリピンへの移住は明治時代半ばごろから始まった。最も多い時期には約3万人おり、現地で農業や道路建設に従事。現地女性と結婚、子供をもうける人も多かった。

 ただ、昭和16年の日米開戦で状況は一変。日本軍がフィリピンを占領、現地の日本人や日系人は軍属として通訳や食料調達などで日本軍に協力したが、戦禍に巻き込まれ命を落とす人も多かった。戦後、日本人移住者は日本へ強制送還されたが、フィリピン人の母親や2世は取り残された。

 当時は日本もフィリピンも父親の血統で国籍を決めており、日本人である2世は、日本への敵意が根強く残る当時のフィリピンで隠れるように暮らすことを余儀なくされてきた。ただ、父親の戸籍確認ができないため、無国籍状態となっている人も多いという。

 「日本人と認めてほしい」と望む2世のため、PNLSCは出自や身元確認などの支援活動を実施。だが外務省の平成30年度の調査によると、確認されているフィリピン在住の日系2世3810人のうち1210人が日本国籍を取得したが、今も1069人が無国籍状態になっている。

 展示会では、戦前の日本人コミュニティーの写真展示のほか、日系2世らのドキュメンタリー映像を上映。PNLSCの猪俣典弘事務局長は「『忘れられた日本人』である彼らがどんな苦労をしてきたのか、多くの人に知ってほしい」と話している。展示会は20日までで、入場無料。問い合わせはPNLSC(03・3355・8861)。

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