ウイグル人女性、再教育の「洗脳」体験を語る 「壁は白でも、黒と言え」 習主席崇拝、叩き込まれ

産経ニュース / 2021年4月7日 17時4分

強制収容された体験を話すギュルバハル・ハイティワジさん(三井美奈撮影)

 中国当局により、新疆(しんきょう)ウイグル自治区で約2年3カ月間、拘束されていたウイグル人女性が亡命先のパリで、「再教育施設」の体験を語った。中国共産党や習近平国家主席への忠誠をたたき込む「洗脳」の実態が浮き彫りになった。(パリ 三井美奈)

 この女性は、自治区北部カラマイにある石油会社の元技師、ギュルバハル・ハイティワジさん(54)。2006年に夫の住むパリに移住したが、16年になって突然、会社から「退職手続きが必要」と呼び出された。カラマイ到着後、警察に突然拘束された。

 尋問では椅子の肘掛けに手首を金具で固定され、パリに住む娘の写真を見せられた。「お前の娘はテロリストだ」と責められた。「罰だ」と言われ、3週間ベッドに鎖でつながれて過ごしたこともあった。

 17年6月、カラマイ郊外の砂漠にある「職業技能教育訓練センター」に移送された。約230人の女性がいたという。

 「再教育」は、毎日11時間続いた。ウイグル族はトルコ系とされるが、中国史の授業では「ウイグル族はトルコ系ではない。モンゴルに由来する」と教えられた。ハイティワジさんは「毛沢東、●(=登におおざと)小平ら過去の指導者にはほとんど言及がなく、習主席の生い立ちや功績ばかり強調された。個人崇拝が濃厚だった」と指摘した。

 教官への反論は許されなかった。壁の色を問われて「白だ」と答えると、「違う。黒だ。色は私が決める」と言われた。「党の恩義に反した」として自己批判の作文を何度も書かせられた。国歌斉唱や作文が上手だと、教官がビスケットの小袋を褒美に与えた。

 ハイティワジさんは「まるで犬のしつけ。最初はバカバカしいと思ったが、疲れて思考がマヒすると、菓子欲しさに必死に取り組む。自分の言語や文化を否定し、犯してもいない罪で共産党の許しを請うようになる。ゆっくりと自分の内面を壊された」と、当局による「洗脳」の手法を語った。

 収容中は「ワクチンだ」と注射を打たれた。しばらくすると、生理が止まる女性が続出したという。

 ハイティワジさんは18年秋、即席裁判で禁錮7年の判決を受け、監獄に収容された。19年に釈放され、フランスに戻った。監視は在外ウイグル人にも及んでいると訴え、「日本政府は中国に対し、強制収容や弾圧を止めるよう圧力をかけてほしい」と訴えた。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング