【竹島を考える講座】「韓国が日本の主権を侵害している」動き出す教育現場 子供たちに正しい知識と理解を 

産経ニュース / 2017年12月7日 6時32分

島根県が制作した竹島学習副教材のDVD

 韓国が不法占拠を続ける「竹島」(島根県隠岐の島町)をめぐり、今年3月に次期学習指導要領で日本固有の領土であることなどを盛り込むよう改訂が告示された。韓国の攻勢に対し、日本政府もようやく重い腰を上げた形だ。一方、平成17年に「竹島の日」を制定した島根県は、すでに独自の「竹島教育」に取り組んでいる。11月に開いた県主催の「竹島問題を考える講座」では、県教委教育指導課の田村康雄指導主事が竹島の教育を取り巻くこうした国の動きや島根県の取り組みについて講演した。主な内容は次のとおり。

教育の役割大きい「竹島への関心度」

 内閣府が竹島に関する世論調査を7月に実施し、結果が先日発表された。「竹島に関心がある」と答えたのは59・3%。3年前の前回調査では、66・9%だった。逆に、「関心がない」と答えたのは37・2%で、前回は30・7%。「関心あり」が7%減り、「関心なし」が7%増えたという結果だ。

 関心のない人に理由を尋ねたところ、「自分の生活にあまり影響がないから」が64・7%で最も多かった。また、竹島が島根県に属していることを知っていたのは、58・0%。どちらの数字も寂しさを感じる。

 その一方、「竹島のことを何で知ったか」という質問に対し、「学校の授業で知った」と答えたのは8・3%だったが、18〜29歳に限れば35・0%。この数字をみると、教育に携わる者としては、教育の役割が大きいと改めて思う。

学習指導要領改訂で与えられた法的根拠

 教育基本法が平成18年に改正され、第2条に「教育の目標」として「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」という項目が新たに加わった。

 「他国を尊重する」という態度は大事なことだが、それは「他国の言いなりになる」ことではない。グローバル化が進む今の世の中で、まずは自分たちの国のことをしっかり学び、領土問題でいえば私たちの主張をきちっと他国の人たちに伝えることができる-ということが求められている。

 今回、小・中学校の学習指導要領が今年3月に改訂され、竹島に関する記述が盛り込まれた。これまでにも、学習指導要領の意味や解釈などの詳細について説明した「学習指導要領解説」に竹島が取り上げられていた。だが、文部科学省が定めた教育課程の基準で法的拘束力を持つ学習指導要領に登場したことに意味がある。学校教育で「竹島」を扱う法的根拠が与えられたのだ。

ようやく重い腰を上げた日本政府

 学習指導要領以外にも、国の動きが少しずつ出てきた。平成25年2月、内閣官房領土・主権対策企画調整室のウェブサイトが開設された。この年は、島根県が主催する「竹島の日」の記念式典に政府関係者が初めて出席。前年には、韓国大統領として当時の李明博大統領が竹島に初めて上陸したこともあり、国がようやく重い腰を上げてくれたような気がする。

 25年7月には「領土・主権をめぐる内外発信に関する有識者懇談会」が報告書を発表。その中で、「教育現場との連携も含め、国内啓発を強化する必要がある」「竹島問題に関する国内世論の啓発が極めて重要である」とあり、こうしたことも今回の学習指導要領改訂につながった。

 26年度には、内閣官房の主催で、領土・主権に関する教員向けのセミナーが始まった。全国の教員が竹島について授業で取り上げられるよう、学校現場を指導する教育委員会の担当者らが参加。3年続けて島根県で開催されたが、今年は初めて埼玉県で開かれた。

新学習指導要領を先取りする島根県の取り組み

 竹島問題を考える中で、大きな柱は3つあると考えている。1つ目は専門的な立場から議論していく「研究」。2つ目は県内外に竹島を紹介する「啓発」。そして3つ目が教育。

 島根県が17年に制定した「竹島の日」条例では、第3条で「県は、竹島の日の趣旨にふさわしい取り組みを推進するため、必要な施策を講ずるよう努める」と規定。県教委はこれを根拠として、「竹島教育」「領土教育」をさらに進めようと取り組んでいる。

 竹島をめぐる問題は、実際に発生している領土問題であり、島根県政にとっても大きな重点課題。もちろん島根県だけの問題ではないが、全国に広めていくと同時に、県内でももっと関心を高めていく必要があり、教育の場で扱うことに大きな意義がある。

 県では竹島に関する学習を通じて、目指す子供たちの姿を次のように示している。

 (1)竹島が我が国の固有の領土であることを知っている(2)竹島問題の解決を図ろうとする意欲を持っている(3)竹島問題を解決するための自分なりの考えを持っている。

 1つ目は、知識や理解。「まずは竹島を理解しましょう」ということ。2つ目は「自分自身の問題として主体的に考えてほしい」ということ。3つ目は、いわゆる思考判断表現。くしくも文科省が今回、新しい学習指導要領で示した柱を先取りしたような形になっている。

初任者研修、6年目研修でも竹島問題

 一方、先生たちに対しては、「子供たちに身につけさせたいこと」として次のことを挙げている。

 (1)歴史的事実に照らして我が国の固有の領土であること(2)国際法上、我が国の固有の領土であること(3)現在、我が国の主権が侵害されていること(4)我が国や島根県が平和的な解決に向けて取り組んでいること。

 そこで、竹島問題についてまず先生たちに正しく理解してもらおうと、県教委は教員の初任者研修で時間を割き、6年目の研修時でも再度、話をしている。

 また、年度末には各学校に対し、竹島問題についてどんな取り組みをしたか調査を実施。社会科や地理歴史・公民科の授業はもちろん、ある学校では朝礼の場で話をしたり、授業参観に合わせて竹島学習を取り上げたり、というケースもあった。

副教材や指導案、入試問題も

 竹島学習を進めるに当たっては、学習課程の中に適切に位置づけ、さまざまな資料や教材を制作して学習機会の充実に努めてきた。21年度には竹島学習の副教材としてDVD資料を制作。その中に、関連映像やワークシートなども入れ、各学校に配布している。

 中学生向けに「竹島学習リーフレット」も制作し、24年度には2、3年生に、25年度以降は2年生に配っている。リーフレットは一般向けにも配布しており、内閣官房のウェブサイトからもダウンロードできる。

 また27年度には教員向けに「領土に関する教育ハンドブック」を制作し、全学校に配布した。(内容は)領土問題に関する基本的な考え方をまとめた「概論編」、学年の発達段階に応じた実践や校内研修についてまとめた「事例編」、授業や啓発に活用できるDVDの「資料編」の3本立てになっている。

 公立高校の入試でもここ数年は竹島に関する問題を出題。例えば、竹島と同じ緯度にある東北地方の地名を答えさせたり、国際司法裁判所についての問題を出したりし、国際的な場で問題の解決を図ろうとしている日本の姿勢を理解してもらおうと努めている。

 「入試に出るから勉強する」というのは、本末転倒だが、中学校に対する一つのメッセージにはなると思う。

答のない問題にどう取り組むかが問われる

 竹島問題に関して、教育の役割とは何か。それは、「国際社会の平和と発展に寄与する態度を養う」という教育基本法第2条第5項に戻る。

 子供たちに「領土問題の解決を」と求めてもそれは難しいし、領土問題の解決は国、政府の役割。子供たちに解決策を求めて見つかるのであれば、この問題はとっくの昔に解決している。

 大人ですらなかなか解決の糸口を見いだせていないが、答が見つからない問題を、子供たちが知識を吸収しながら一生懸命考えていくことが大事だと思う。今は、答のない問題、答が一つではない問題に、子供たちがどう取り組んでいくかが問われている。

 今回の学習指導要領改訂は大きな転換点。島根県だけでなく、日本の教育全体で竹島の問題について考えていくことになる。その一方で、島根県としてはこれまでの学習をさらに進め、島根から全国に発信していく役割も求められている。

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