【世界を読む】韓国政府が支援中止、米研究所閉鎖に専門家ら「口あんぐり」

産経ニュース / 2018年4月17日 6時32分

 北朝鮮の核・ミサイル開発問題を大きく左右する米朝首脳会談の準備が進む中、韓国政府が米ワシントンにある研究機関への予算支援を中止し、貴重な研究組織を廃止に追い込むという衝撃的な事態が起きている。米で安全保障問題の研究経験がある人からは「口があんぐり」との声も聞こえてくる。

 朝鮮日報(電子版)などによると、米ワシントンに拠点を置く、米国唯一の朝鮮半島専門シンクタンク「米韓研究所(USKI)」が5月中に閉鎖される。

 米韓研究所が所属するジョンズ・ホプキンズ大国際大学院(SAIS)は、韓国政府による支援措置の中止などを受け、米韓研究所を閉鎖することにしたという。

共産圏と対峙してきた…

 ワシントンといえば、世界の政治・外交で最重要拠点の一つ。そのワシントンでも、外交・安全保障の専門家の間でも知られるジョンズ・ホプキンズ大国際大学院の研究所を閉鎖するという韓国側の対応に驚きの声が上がっている。

 旧共産主義圏の中国や北朝鮮に、在韓米軍と一緒になって対峙(たいじ)してきた韓国にとって、米国内で朝鮮半島情勢や米韓同盟などに関する情報を米政府高官や政治家に広める意味でも同研究所は貴重な存在だ。韓国の外交力が低下する恐れも否定できない。

 米国における韓国の存在感を薄めるだけでなく、朝鮮半島に劇的な変化をもたらすかもしれない米朝首脳会談を前に、研究所の閉鎖が決定されるという事態に首をかしげる人も多い。

 報道では、米韓研究所側の運営における問題点も指摘されている。

「非常に愚かだ」

 ただ、研究所が廃止に追い込まれるこうした動きは、米国の大学やシンクタンクなどに「韓国政府は何かあれば研究予算を引き揚げる」という印象を植え付けかねず、長期的にダメージが大きくなる恐れもある。

 米政府内では、金正恩(キム・ジョンウン)政権が急速に進めた大陸間弾道ミサイル(ICBM)や核開発への懸念などから一時的に北朝鮮への関心は高まっている。しかし、「米国にとって北東アジアは遠く離れた地域。一般的な感心はとても低い」(日本の安全保障専門家)というのが実情だ。

 こうした中で、英語での論文発表や朝鮮半島の研究者を育成する研究所は、学術を超えた大きな役割を担っているとも言える。学術界からは「遺憾だ」との声が漏れる。

 中央日報(電子版)は「貴重な公共外交資産、このまま失うのか」との見出しで社説を掲載した。社説の中では米韓研究所の評価が分かれる可能性を指摘した上で「それでも米国内の貴重な公共外交資産をこのように荒く扱って失ってしまうのは非常に愚かなことだ」と警鐘を鳴らしている。

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