頻発する車の立ち往生、原因は雪でなくガス欠だった

産経ニュース / 2021年1月13日 11時2分

 鳥取県内の山陰自動車道(山陰道)で昨年、燃料切れ(ガス欠)による「車両立ち往生」が少なくとも10件以上発生していたことが、鳥取県警などへの取材で分かった。県内の山陰道は本線上に給油所(GS)を備えた休憩施設はないものの、インターチェンジ(IC)間の距離は短く、一般道に降りれば給油は容易にもかかわらず、ガス欠が発生していた。国土交通省や県などはガス欠による大渋滞などの交通障害発生を防ぐため、IC出口付近とICに接続する一般道に、最寄りのGSへ誘導する看板の設置を始めた。

 圧倒的に多い

 「昨年、通報を受けて警察官が現場に臨場したのは10件。ただ、すべてが通報されるわけではなく、運転者が処理して終わることもある」。県警高速道路交通警察隊の長砂敏明隊長はこう打ち明ける。実際、昨年1年間に日本自動車連盟(JAF)鳥取支部がガス欠で出動した件数は15件で、県警の認知件数より多い。

 立ち往生といえば、昨年12月の寒波で新潟、群馬県境の関越自動車道で約千台が動けなくなるなど大雪が原因だと思いがちだが、実際に件数ではガス欠を原因とするケースが圧倒的に多い。

 国交省鳥取河川国道事務所によると、県内の山陰道の東端にあたり、令和元年5月に全線開通した「鳥取西道路」(19・3キロ)では、開通から昨年12月までの1年8カ月間に発生した「立ち往生」のうち雪を原因とするものが0件。これに対しガス欠は11件だった。山陰道とつながる自動車専用道で、山陰道と同様に本線上にGSがない「鳥取自動車道」(兵庫県佐用町-鳥取市)でも同期間、雪9件(スリップ含む)に対し、ガス欠は24件も発生している。

 甘い見通し「なんとか行ける」

 JAFの昨年度1年間のまとめでは、全国の高速道・自動車専用道へのロードサービス出動で、ガス欠はタイヤのパンクに続いて2番目に多い。4輪車は燃料残量警告灯(エンプティランプ)が点灯しても50キロ程度は走行できるとされるが、高速道ではGS間の距離が100キロ以上離れている場所があったり、車両の燃費向上などに伴う経営上の課題でGSの数が減ったりしていることや、燃料が少なくなっている状態で渋滞に遭遇したりすることが理由と考えられる。

 しかし、自動車専用道と国道を接続して構成する県内の山陰道は事情が異なる。全長88キロのうち74・5キロが自動車専用道区間で、この間に計24のIC(国道区間も含む)が設けられている。IC間の距離は短く、走行中にエンプティランプが点灯したとしても、容易に一般道に降りて給油はできる。しかも、県内の山陰道は通行料金が不要で、乗り降りに抵抗感は小さい。

 それでもガス欠が発生している。鳥取河川国道事務所計画課の高市康寿課長は「どこで降り、どう行けば給油所に行けるか分からないドライバーがいるのでは」と推測。一方、県警高速隊の長砂隊長は「ガソリンが残り少なくなっても目的地まで行けるかなと無理をしたり、そもそもガソリンがなくなっていることに気づかなかったりする」、JAF鳥取支部推進課の清水歩課長は「軽自動車だとエンプティランプがない車種もある」と話し、いずれも見通しの甘さや運転知識の未熟さを指摘した。

 渋滞発生はないものの…

 県警や同事務所によると、昨年は、ガス欠による立ち往生で渋滞が発生した例はないという。上り下りとも片側1車線区間がほとんどの山陰道だが、路肩や非常駐車帯に停止することで、立ち往生車両が完全に道路をふさぐことはなかった。

 しかし、停車した車両の脇を通過する際に速度低下などの交通障害は発生する。さらに、高速道や自動車専用道での燃料切れによる停止は道交法違反となり、摘発されれば普通車で9千円の反則金が科され、交通違反点数も2点減点となる。

 山陰道でガス欠による立ち往生が頻発する状況を受け、同事務所や県などは昨年11月、IC出口付近と一般道に、最寄りのGSまでの案内看板設置に着手。来年度いっぱいかけて、出口から2キロ以内にGSがある10のICを対象に看板を掲げる。

 高市課長は「看板によりドライバーを導ければ」と効果に期待。一方、長砂隊長は「山陰道などを利用する際には、燃料残量やタイヤの空気圧などをチェックする『運行前点検』を心掛けてほしい」と注意を呼び掛けた。

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