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【詳報】静岡市ビル火災で元消防隊員が会見…市の「効率性優先させた」との検証に「安全性軽視ない」と反論

Daiichi-TV(静岡第一テレビ) / 2024年3月6日 17時45分

Daiichi-TV(静岡第一テレビ)

2022年8月、静岡市で消防隊員が死亡したビル火災について、当時、消火活動を行った元消防隊員が会見を開きました。元消防隊員は「安全性より効率性を優先させた」と指摘した市の検証結果について「事実と異なることが多い」と反論しました。

(元消防隊員)

「静岡市葵区呉服町の消防士殉職事案について、当時の小隊長の処分や公表されている事故報告書の内容、報道の皆様に伝わっている内容や、市長の会見を含め事実と異なることが多く、現場との見解が異なり、誤解されているところもある」

6日、記者会見を開いたのは、呉服町のビル火災で消火活動を行った静岡市消防局の元消防隊員です。

2022年8月、静岡市葵区の呉服町で起きたビル火災では、消火活動をしていた駿河消防署の消防士の男性が死亡しました。

これをうけて市が設置した事故調査委員会は、2023年8月、再発防止策などをまとめた報告書を静岡市に提出しました。静岡市消防局の基準では、煙が充満した現場に隊員を侵入させる場合は、命綱などで隊員同士を結び付ける必要があったにも関わらず、死亡した隊員はロープを使わずに火災現場に進入。これについて事故調査委員会は、ロープの装着が定められているため「安全意識が欠如していた」と結論づけていました。

その後、難波市長は市による再検証を実施し、先週、消防局内で決められた「活動基準」が守られていなかったことが問題だったと指摘。その上で来年度、消防長直轄の「消防管理室」を設置して、消防局の組織的な改善を図っていく方針を示していました。

(静岡市 難波市長)

「厳しく言うと(消防局は)事故を受けて、再発防止に本気で取り組んでいない。徹底的に改善しないと変わらない。消防局の組織的な対応が不十分で、改善も今のところ不十分。なぜその事故が起きたのかしっかり分析した上で改善につなげていく」

こうした中、当時、火災現場に進入し消火活動を行った元消防隊員が開いた記者会見。元消防隊員は、消防局の活動基準で定められている命綱であるロープをつけなかったことについて「合理性がないから」と訴えました。

(元消防隊員)

「ではなぜ(命綱などを)使用しなかったのか。今の時代にそぐわない方法であり、安全でもなければ合理的な証明もされていないからです。逆につけるべき合理的理由は何なのでしょうか。安全性を証明できるものは何なのでしょうか。規範に書いてあるからでしょうか。だとすれば、その規範は見直しされていたのでしょうか」

元消防隊員は当時、死亡した男性と火元を捜索していたといいます。隊員同士をつなぐロープを使わなかったのは小隊長の指示だとした上で「通路が狭くロープが絡まる可能性があり危険だった。小隊長の判断は間違っていなかった」と、実際の侵入方法を実演しながら判断は正しかったと訴えました。

(元消防隊員)

「最終的に指示をしたのは小隊長、全員それに対してNOとは言っていない」

この火災が起きる前にも、現場の判断で命綱を使わなかったことは多かったといいますが、隊員の声を聞き取って消防局の活動基準を適切に見直してこなかったことに問題があると指摘しました。

(元消防隊員)

「何十年前に作られた活動基準で一切の見直しがされてこなかった。基準や規定を守ることが安全だといえますでしょうか」

一方、難波市長は5日、市議会の答弁で「事故調の報告書は過不足はなく、指摘は市の検証の手法と内容を十分に理解していない」「ロープを使用しなかったことは不適切」と反論しています。

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