【昭和レトロ】宿場町に今も残る銭湯…150年の歴史を刻む「みどり湯」の変わらぬ日常 常連客との温かいふれあいに密着(every.しずおか特集)
Daiichi-TV(静岡第一テレビ) / 2024年3月26日 13時24分
東海道の宿場町で、今もその面影を残す湖西市・新居町。その一角に人々の生活を見守り続ける場所が…銭湯「みどり湯」。
創業は明治12年。リアルなレトロ感を求めて遠くからもお客さんが…。
今日もあたたかい笑顔でお客さんを迎えるのは、4代目の青山さん夫婦。
(みどり湯 四代目 青山 勝さん)
「何にもいじってない、昔のまま」
Q:昭和5年に建てたまま?
「そうです。現代風にするより、昔のレトロな方が俺が好きなもんで」
150年近い歴史を今なお刻み続けるレトロな銭湯…そこを切り盛りする夫婦とお客さんたちの日常に密着しました。
“リアル”なレトロ銭湯の魅力
開店は午後4時半。一番客は、いつも決まった常連さんです。
(みどり湯 青山みさ子さん)
「ありがとね。届かない私が、届かなくなっちゃって背が低くなって」
Q:毎日のれんをかけているんですか?
(常連客)
「毎日、ここに来る日はね」
どこか懐かしい雰囲気が漂う「みどり湯」 入浴料は400円、木の札がチケットの代わりです。
体がヒリヒリするほどの熱い湯も魅力
(常連客)
「あついよ。これだけ熱い湯に入れる人は少ないよ」
みどり湯のお湯は42℃以上もあり、体がヒリヒリするほどあっつあつ!常連さんはこの湯を求めてやってきます。
この銭湯を営むのは4代目の青山勝さん81歳と、妻・みさ子さん78歳。(取材当時)
お湯張りから接客まで、すべてを2人だけで行います。
人気の熱いお湯は、勝さんが絶妙な感覚でバルブを調整してつくります。
(みどり湯 四代目 青山 勝さん)
「だいたい最高90℃までお湯を温めて出す」
Q:奥さんはやり方を知っている?
「わからない。教えたけど、面倒くさくてできないって」
(客)
「あつ~、あつい!でもね気持ちいい!すごい熱いので、体がすごい楽になるんですよね」
「お湯がやわらかい感じ」
客との温かいふれあい
小学生のころから通うという男性も…
(客)
「(小学生のころ)友達と来て、ここで勝手に船を浮かべて年寄りに怒られたり。この(床の)タイル、体に石鹸を塗ってここ滑って遊んだんですよ。ここを往復して遊んで怒られましたよね」
お風呂を出れば、番台のみさ子さんと世間話が始まります。
(客)
「田舎まちなので、うわさ話がすぐに伝わってくるんですよ」
(みどり湯 青山みさ子さん)
「でも面白いもんね。うわさ話面白い、アハハ」
「楽しい!楽しい~。みんな顔見知りだからね。知らない人はそんなに…ちょっと声かけちゃうけどね、どっから来た?って」
(お寺の住職)
「われわれ住職ね、息を抜く場所がないから、ここなら知った顔ばかりだから気楽。こういう場所で出会って、つながっていく。分からないことを話したりとか」
燃料費の高騰や客足の減少で営業はギリギリ…
閉店は午後10時。しかし、勝さんの仕事はまだまだ終わりません。
年季の入った浴室を、すみずみまで磨きます。深夜1時過ぎ、ようやくこの日の仕事を終えると、一番の楽しみが…
(みどり湯 四代目 青山 勝さん)
「はぁ~やっと終わったかって」
勝さんが最後に風呂につかり、みどり湯の一日が終わります。
水曜日は定休日。お休みのはずが、浴室には勝さんの姿が…
(みどり湯 四代目 青山 勝さん)
「ここ(浴槽のタイル)のところが膨らんでいて、中がはがれているもんで。業者に頼んでもすぐ直せない、できるものは全部自分でやる」
昔と比べてお客さんも減り、さらに燃料費の高騰で営業はギリギリだといいます。
銭湯の心臓「ボイラー」は…
(みどり湯 四代目 青山 勝さん)
Q:ボイラーに不調はないですか?
「ないです。ボイラーが悪くなる時はやめる時」
(みどり湯 青山みさ子さん)
「自分たちが元気なうちは、健康が続く限りできたらいいなという感じ。体の衰えと、お風呂の衰えと両方一緒で、あと何年できるかなって思いますね」
夫婦とともに歩む「みどり湯」の日常
この日もみどり湯には、あつあつのお湯と青山夫婦とのふれあいを求めてお客さんがやってきます。
(客)
「通って10年以上、まだ新参者ですよ。話すようになったのは4~5年前」
「ここに来るとみんな友達になる」
「名前とかわからない。あと服着て会うと、誰かわからない」
(大阪から来た客)
Qどんなところが気になった?
「木のロッカー、本気のレトロだったのですごいなって。長いこと続けてください、また来たいです。お元気で」
(みどり湯 青山みさ子さん)
「すごくうれしい。番台やっててよかったなって」
記者:やめられないですね
「私が持たない、ははは~!」
明治から続く、いまではレトロな銭湯「みどり湯」
そこでは、温かくて、生き生きとした人々の触れ合いが、今も毎日繰り広げられていました。
(みどり湯 四代目 青山 勝さん)
「四代目なので、なくしたくないという気持ちも半分。やっぱりお客さんから『やめないで欲しい』が一番だね」
(静岡第一テレビ every.しずおか 2023年4月27日放送)
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