【川勝県政】4度の選挙で県民支持獲得しながら…知事自らの発言で辞任決意に至った15年とは?(静岡県)
Daiichi-TV(静岡第一テレビ) / 2024年4月3日 18時12分
4月2日 突然の辞意を表明した川勝知事。4度もの選挙で静岡県民の支持を獲得しながら、自らの発言がもとで辞任を決意するに至った川勝県政の15年はどんなものだったのでしょうか。
いまから15年前、2009年7月の知事選。川勝知事は、政権交代目前だった当時の民主党などの推薦を得て出馬しました。
(2009年 知事選・川勝知事)
「第1に行政改革、第2に教育改革、第3に食と農の改革、この3つの柱を同時並行的に1期4年の間に全部やりぬく」
( 県議)
Q川勝さんどうですか?
「優しい方ですよね、私たち政治家と付き合ってますから川勝先生みたいなタイプは異質ですね、政治家じゃないタイプの政治家になってほしい」
「僕は1年生から始まりましたから、お辞儀の仕方から姿勢も含めて全部教わってますね」
72万票余りを獲得し、接戦を制して政治の世界に進んだ川勝知事。
(初当選時・川勝知事)
「基本的にやる気を皆出して私自身は御覧の通りやる気満々です皆様いかがですかやる気満々ですかYESorNOじゃぁ皆様やる気満々ですかYES これでいきましょう」
京都府出身で、イギリスのオックスフォード大学大学院で博士号を取得した経歴を持つ経済学者。当時は公務のかたわら、早朝に起きて学者としての研究や執筆活動を続ける異色の県知事の誕生でした。
就任後は開港間もない静岡空港の利用促進策などに奔走。
また新東名高速道路の1年前倒しでの開通を実現に導いたり、富士山振興では、2月23日を「富士山の日」と制定するなど世界文化遺産登録への運動に拍車をかけ、登録を確実なものにするなどして実績を積み上げていきます。
(川勝知事)
「ちょっと興奮したというか嬉しかったです。これ自然に作ったものですからそれが文化だというようにお認めになったということですから」
また、東日本大震災の後には、防災・減災と地域成長が両立した新しい地域づくりを目指す「内陸フロンティア構想」を提唱するなど、独創的なアイデアと発信力をいかした施策を進めます。
一方で、自らの考えを貫き通し、歯に衣着せぬ発言によって思わぬ対立を生む傾向は当初からありました。
静岡空港を巡っては、一定の搭乗率を下回った場合、県が日本航空を支援する契約の見直しを迫り、当時の日本航空社長に直談判。
(川勝知事)
「公益を損なうものを容認しておく事はできない」
ただ、この問題は結論が出ないうちに、日本航空が経営難で静岡空港から撤退することとなり、日本航空にかなり厳しい非難を浴びせました。
(川勝知事)
「静岡空港から撤退するというふうなことが書かれているが、申し合わせの精神にもとる」
それでも2期目を目指した2013年の知事選では、歴代最多の108万票余りを獲得。ほかの候補者に70万票以上の差をつけ圧倒的な支持を受けます。
(川勝知事)
「世界の中のふじのくに静岡県、その名と地位に恥じない県政を進めていきたいと決意している」
ただ、この頃から、発信力を発揮する一方で、歯に衣着せぬ発言によりさまざまなあつれきが生じていくことに…。
(川勝知事)
「先生に責任があると思っている。下から100位までの、あるいは平均点以下の小学校の校長先生の名前は公表したい」
全国学力テストで結果の思わしくなかった小学校の校長名を公表すると明言。これには、教育委員会や文科省から猛反発を受けました。
(安部 徹 県教育長)
「使うなと言っているのではなくて使い方の一つに公表ということはぜひご遠慮いただきたい
(川勝知事)
「公表します。私は公表します。公表するために持ってきてくださいと申し上げたつもりです。学校の序列化はしません。先生に責任があると思っている、そういう責任の所在の在り方についてどうするかについては任せて頂かないと」
この問題では結局、結果のよかった学校の校長名を公表することに。
(川勝知事)
「教育委員会に風穴を開けるということはなかなかできない。今回そこに風穴を開けることができる、ひとつの問題提起ができまして、多分喜ばれていると思う」
そして大きなあつれきを生んだのが県都・静岡市の市長との関係でした。
県都構想を巡り、当時の静岡市長・田辺氏との関係の悪さがむき出しに。直接の会談では、緊迫した雰囲気となりました。
(川勝知事)
「君は知っていましたか、彼の事、君のためでもない私のためでもない」
(当時・静岡市 田辺市長)
「君、君っておっしゃりますけどね、静岡市長ですけど私もずっと気になっていたんですけど こういう公の席ですからね」
(川勝知事)
「それは失礼しました『君』は侮辱の言葉ですか?」
その後も…。
(当時・静岡市 田辺市長)
「市民は知事と市長が一緒になってこの70万人維持のために地域経済の活性化をどうするんだと、いうことに期待をされていると私は思っています。ですから制度論ではなくて例えば地方創世の流れの中で本社機能を地方に移転したら税制優遇をすると」
(川勝知事)
「制度論じゃないですか」
(当時・静岡市 田辺市長)
「県にも協力してもらって、どうやったら移転してくれる…
(川勝知事)
「それも制度論でしょ」
(当時・静岡市 田辺市長)
「違うそうじゃない、実質論です。聞いてくださ、い聞いてください。私は粘り強く知事の言葉に耳を傾けました。あなたは私が話し始めて3分となく口を挟む」
それでも、2017年の知事選では盤石の強さをみせて当選。この3期目で浮上したのが、リニア新幹線の問題でした。
川勝知事の動向がこれまで以上に全国から注目を浴びると同時に、歯に衣着せぬ発言が不適切なものとしてメディアをにぎわせるようになっていきます。
(川勝知事)
「菅義偉という人物の教養のレベルがはからずも露見したということ」
「ごろつきやくざというのは誠に不適切な表現誠に申し訳ありませんでした」
そして、4月1日。
(川勝知事)
「県庁っていうのは別の言葉で言うとシンクタンク(=”頭脳集団”)、毎日毎日 野菜を売ったり牛の世話をしたりモノを作ったりとかと違って、基本的に皆様方は頭脳・知性が高い方たちそれを磨く必要がある」
幾度となく繰り返された不適切な発言の果てに、その時がきます。
(川勝知事)
「よく考えたんですけど…準備もありますからねぇ…6月の議会を持って、この職を辞そうと思っております…以上です」
独自の発信力を発揮する一方、その発言がたびたび大きな混乱を招いてきた川勝県政。4期目の任期を1年あまり残して、その川勝劇場に終止符が打たれることとなります。
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