自ら終止符打った紆余曲折経た“川勝県政の15年”とは一体何を生み何を残してきたのか?(静岡)
Daiichi-TV(静岡第一テレビ) / 2024年4月10日 17時29分
川勝知事は 10日 辞職願を提出し、4期15年に渡った川勝県政に自ら終止符を打ちました。紆余曲折を経た川勝県政の15年とは一体何を生み、何を残してきたのでしょうか。
いまから15年前。学者生活から一転して初めて知事選に出馬した当時、その理由を尋ねると。
Q.知事選出馬の最大の要因は?
(知事選初出馬当時の川勝知事)
「機が熟したんですね。もともと日本のことを考えていた。いつも。そこへ知事選が降ってきた」
72万票余りを獲得し、接戦を制して政治の世界に進んだ川勝知事。
川勝知事は京都府出身で、イギリスのオックスフォード大学大学院で博士号を取得した経歴を持つ経済学者。就任後は開港間もない静岡空港の利用促進策などに奔走。
さらに、新東名高速道路の1年前倒しでの開通を実現に導いたほか、富士山振興では、2月23日を「富士山の日」と制定するなどして機運を高め世界文化遺産への登録に繋げました。
(川勝知事)
「ちょっと興奮したというか嬉しかったですこれ自然に作ったものですからそれが文化だというようにお認めになったということですから」
その一方で、自らの考えを貫き通し、思わぬ対立を生む傾向は当初からありました。
静岡空港を巡っては、一定の搭乗率を下回った場合、県が日本航空を支援する契約の見直しを迫り、当時の日本航空社長に直談判。
(川勝知事)
「公益を損なうものを容認しておく事はできない」
ただ、この問題は結論が出ないうちに、日本航空が経営難で静岡空港から撤退することとなり、日本航空にかなり厳しい非難を浴びせました。
(川勝知事)
「静岡空港から撤退するというふうなことが書かれているが、申し合わせの精神にもとる」
それでも、2期目を目指した2013年の知事選では歴代最多の108万票余りを獲得。ほかの候補者に70万票以上の差をつけ圧倒的な支持を受けます。
(川勝知事)
「世界の中のふじのくに静岡県その名と地位に恥じない県政を進めていきたいと決意している」
ただ、この頃から、発信力を発揮する一方で歯に衣着せぬ発言によりさまざまなあつれきが生じていくことになり…、その中で最も大きな軋轢を生んだのが県都・静岡市の市長との関係でした。県都構想を巡り、当時の静岡市長・田辺氏との関係の悪さがむき出しに。直接の会談では、緊迫した雰囲気となりました。
(川勝知事)
「君は知っていましたか彼の事君のためでもない私のためでもない」
(田辺市長)
「君、君っておっしゃりますけどね 静岡市長ですけど私もずっと気になっていたんですけど こういう公の席ですからね」
(川勝知事)
「それは失礼しました『君』は侮辱の言葉ですか?」
結局、田辺市長との関係は最後まで修復することはありませんでした。
それでも、2017年の知事選では盤石の強さをみせて当選。この3期目で浮上したのが、リニア新幹線の問題でした。
(川勝知事)
「いざ悪影響が出たらどうするか。きちっと協定で文書化して、誰にもわかるようにしてからでないと工事はできない」
リニア新幹線の工事による「大井川の水問題」について厳しい姿勢を示し、静岡工区での工事を認めてこなかった川勝知事。県とJR東海では、これまで、多くの議論が交わされてきましたが、意見は平行線をたどり、対立が続いていました。この結果、JR東海は3月 土交通省で開かれたモニタリング会議で、いまだ静岡工区の見通しが立たないことから、品川・名古屋間の2027年開業を「断念する」と正式に表明しました。
そして、リニア問題に端を発して川勝知事の動向がこれまで以上に全国から注目を浴びると同時に、歯に衣着せぬ発言が不適切なものとしてメディアをにぎわせるようになっていきます。
(川勝知事)
「あちら(御殿場市)はコシヒカリしかない。だから飯だけ食ってそれで農業だと思っている」
御殿場市を引き合いに出したいわゆる“コシヒカリ発言”が大きな波紋を広げる事態に。この問題で、県議会から辞職勧告決議を受けた川勝知事は、「また不適切な発言をすれば辞職する覚悟」と話していました。
(川勝知事)
「(これまで)間違いをすることはあったと思うが、今後 間違いをして人様に迷惑をかければ、辞職する」
数々の不適切発言が注目されてきた川勝知事。そして4月1日。恒例の県庁新規採用職員への訓示での発言が大きな問題となりました。
(川勝知事)
「県庁っていうのは別の言葉で言うとシンクタンク(=”頭脳集団”)毎日毎日 野菜を売ったり牛の世話をしたりモノを作ったりとかと違って基本的に皆様方は頭脳・知性が高い方たちそれを磨く必要がある」
特定の職業を差別するかのような発言をしたことについて多くの批判を受けます。そしてこの発言の翌日…。
(川勝知事)
「よく考えたんですけど…準備もありますからねぇ…6月の議会を持って この職を辞そうと思っております…以上です」
突然の“辞意表明”でした。10日 午後 行われた会見で、川勝県政での成果を問われると…。
(川勝知事)
「これはご自身でというのは、まず外さないといけない。これは一人ではできません。(県民)350万人強ですが、その人たちと一緒にやってきたことですね。この間うれしかったことは、(富士山が)世界文化遺産になったことじゃないですか」
また、最も悲しかったこととして2021年7月に発生し災害関連死1人を含む28人が犠牲となった熱海の土石流災害を上げました。そして、最後に川勝知事は当初予定していた時期よりも辞任を早めた理由について次のように話しました。
(川勝知事)
「私だけが原因だと思います、今回の発言等を含めて、ですからなるべく早く、私が去るのが県民のためになる、私に対する批判が静岡県全体に広がる、広がりねないという批判もいただいていたのはこれはなるべく早くという事で(辞表を提出した)」
このように話し、4期目の任期を1年あまり残し、最後はあっけなく川勝県政の終止符が打たれました。
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