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大雨から一夜明け明らかになった各地の被害状況…なぜこれほどの雨量になったのか気象予報士が解説(静岡)

Daiichi-TV(静岡第一テレビ) / 2024年6月19日 18時2分

Daiichi-TV(静岡第一テレビ)

18日の大雨から一夜明け、静岡県内の被害を受けた地域では朝から片付け作業に追われました。明らかになってきた各地の被害状況。なぜ、これほどの大雨になったのか、気象予報士が詳しく解説します。

( 佐野 幸一郎 カメラマン)

「大雨から一夜明けた沼津市です。冠水していた道路には流木などが散乱しているのが確認できます」

大雨の影響で沼津市を流れる狩野川は茶色く濁ったまま。18日、狩野川沿いのこの道路は通行止めとなっていましたが…。

(坂井 太一 記者)

「こちらが通行止めとなっていた道路です。水の高さはここですね、この辺りまで水が迫ってきていました」

草木や、竹、流木も…爪痕は残っています。

(坂井 太一 記者)

「流木、重いです」「道路標識のポール大きく曲がっている」「水の勢い感じ取れます」

この標識の目の前にあるお宅。1階がガレージで、水は2階のギリギリまで来ていたといいます。

(住民)

「(水が)ここまで来てた」「水があふれるのは慣れてきたが毎回怖い」「午前5時ごろからずっと掃除している 不衛生で物が傷む」

過去に何度も浸水被害にあっていたため10年以上前から別の駐車場を使っているといいます。

(住民)

「永代橋と御成橋の間は防潮堤あるけどここはない。つくってほしい」

梅雨前線や低気圧の影響により太平洋側を中心に広い範囲で大雨となった18日。熱海市網代では観測史上最大となる雨量を観測。気象庁の観測によりますと、降り始めからの24時間雨量は、伊豆市や南伊豆町など4地点で6月の観測史上最も多い雨量となりました。県によりますと建物の床上浸水が沼津市で2件床下浸水は伊豆市で4件確認されています。

18日、清水町で確認された斜面の崩壊。

(髙山 基彦 キャスター)

「学校の裏山はこの大雨の影響で斜面が崩落しています」

裏山が崩れ、高校の敷地内に流れ込みました。学校によりますときのうは大雨の影響で授業を短縮。生徒や教員にけがはありませんでしたが、崩落現場側の棟は、しばらく立ち入り禁止にする予定ということです。一方、被害は段ボール加工 工場でも…。

(エド・パッケージ 萩原 好光 代表取締役)

「この台の上ぐらいまで(水がきた)こんなことめったになかった」

18日の大雨で工場の近くを流れる川が氾濫。あたり一帯が冠水し、工場も浸水する被害にあいました。19日は朝から工場内の泥を流すなど片付け作業に追われていました。

(エド・パッケージ 萩原 好光 代表取締役)

「台風とかで(被害が)あったがここまでひどくなかった初めて」「1日でも早く正常に戻ればいいが」

19日は片づけを行って、工場は2日、3日で稼働させたいということです。

浸水被害は函南町のリサイクルショップでも。

(坂井 太一 記者)

「こちらの用水路が溢れ、店内に水が流れ込んだという事です」 

店長によりますと、水が浸水し始めたのは18日 午後2時ごろ。あっという間に店内が水浸しになってしまったといいます。

(キングファミリー函南店 三田 貴浩 店長)

「ここを見てもらえればわかるんですけども、だいたい高さ的にはこれぐらいですかね。ちょうど服の下に当たるくらい(水が)そこから服に水が染みてきた」

主に洋服を販売するこの店舗。雨の影響で商品の3分の2ほどが水に濡れてしまいました。

(キングファミリー函南店 三田 貴浩 店長)

「泥水なので、そこは商品にはできないので、洗って使うとかはできないので、これは処分する」

水に濡れた洋服を外に出すなどして、19日朝から従業員総出で片付け作業に追われていました。

実はこの店、過去に何度か水害の被害にあっていました。この店舗は5年前の台風19号の時も大きな被害に見舞われていました。浸水被害はこれまでにもたびたびあったといいますが、ここまで大きな被害は2度目か3度目だといいます。

(キングファミリー函南店 三田 貴浩 店長)

「(洋服を)一回全部外に出して床もきれいにすると、1~2日ではちょっと(再開は)難しいかな」「悔しいというか無力感が。どうしても人の手で防げるものではないので」「ただただ残念ということしかないですね」

さらに、浸水の被害も。

(高山 基彦 キャスター)

「きのう床上浸水の被害が確認された沼津市大平地区です、ご覧のようにフェンスにはここまで土がついています。ここまで水が上がってきたことがわかります。地域の方々は朝から清掃作業に追われています」

18日は朝から雨が降り続いた大平地区。夕方から辺り一面が水に浸かり、住宅の間を通る小道には漂流物も。19日朝は早くから道路にたまった泥などをかき出す作業に追われ、公民館にはすでに多くのごみが集められていました。さらに、車が浸水してしまったという人は泥をかき出す作業に追われていました。

(住民)

「きょうは掃除とかあるので(仕事を)休ませてもらった」「ヘドロがたまっていたので午前4時から水で流している」

県東部を中心に多くの被害が発生した今回の大雨。沼津市は、特に被害が多かった大平地区の住民を対象とした災害相談窓口を開設しました。

(高山 基彦 キャスター)

「大雨から一夜明け、こちらの大平地区センターでは相談窓口が開設され、住民の方が訪れ、り災証明書の申請方法、災害ゴミの捨て方などを相談しています」

この女性は、自宅が床上浸水になり相談窓口に来たと話します。

(相談した市民)

「今回は(相談窓口が)早く開設してくれたのでありがたかった」「大きいゴミがけっこう、畳のお家とかも多いので、高齢の方とか、そのゴミをどこに置くというのとか、ボランティアじゃないですけど、実働的に動いてくれる人がすぐ来てくれるのがあった方がいいと思う」

沼津市は、些細なことでも、まずは窓口に来て相談してほしいと話します。

(沼津市 政策推進部 山内 良太 課長)

「生活を立ち直らせるためには、保険が大変重要になりますので」「り災証明の発行は速やかに対応したいと考えています」「私たちが市民に寄りそって、公務員として大前提となりますので、できるだけ早くご相談に来て、今後につなげていければと思います」

梅雨のシーズンを前にした今回の大雨。県内では今後も同様の大雨が降る可能性もあるため、いま一度、雨に対する備えを確認する必要がありそうです。

(スタジオ解説)

(徳増 ないる キャスター)

東部・伊豆を中心に被害をもたらした大雨。ここからは気象予報士・松浦さんに聞きます。松浦さん、かなりの大雨となりましたが、その要因は何でしょうか。

(松浦 悠真 気象予報士)

今回の大雨のポイントとしては3つあるんです。まずは前線の影響、そして地形や風ですね。詳しく図で見ていきます。

18日は、静岡県の南岸付近に前線が停滞していました。そして前線に向かうような形で、上空では南西風が吹いていたんです。まず、前線で雨雲が発生して、上空の風に流されて、県内の陸地の方へと、どんどんと雨雲が流れ込んできていたということになります。こうすることによって活発な雨雲が帯を成して、同じような場所に活発な雨雲がかかりやすかった。さらに東部、伊豆のあたりには高い山もありますので、その山が最後の雨雲をより成長させることによって、集中的な大雨になったというふうにみています。

(徳増 ないる キャスター)

これから梅雨入りをむかえるわけですけれども、また、こうした被害をもたらす大雨が心配されますよね?

(松浦 悠真 気象予報士)

そうですね、梅雨に入りますと前線の活動も活発になりやすくなりますので、こういった大雨というのがさらに増えていくという可能性が十分にあるといえます。で、こういった大雨の時に参考にしていただきたい情報として、1時間の雨量といものがあります。今回は浸水被害というものが多くみられましたが、こういった浸水被害をもたらしやすい雨量というのが1時間に50ミリ前後、「非常に激しい雨」というような名前がつきます。実際に今回は、沼津市や伊豆周辺もこういった雨が降ったのですけれども、こういった「非常に激しい雨」ですとか、1時間に50ミリ以上の雨となってきますと、道路の排水能力が追い付かずに浸水してしまうということが多発する可能性があるんです。

(津川祥吾 アンカー)

増田さん、道路の冠水の話しが出てきましたが、住宅や店舗の浸水も非常に深刻ですけれども、車についても注意が必要ですね。

(コメンテーター 増田 英行 弁護士 )

実は、我が家も2年前の大雨で周辺道路が冠水して、近隣では車が水没してしまったお宅がたくさんあったんですね。いまの車というのは、皆さんご存じのようにコンピュータを使っていて電化製品のようなものですので、一旦壊れると修理費用が高額になる。それからコンピュータをメーカーから取り寄せなければならないので修理までに時間がかかるというので、しばらく車が使えない、ものづごく不便だという話を近所の方から聞いたんです。ですので、我々としては対策として、もちろん自分たちが避難するばしょもそうですけれど、車も避難させる場所を確保しておくとか、それから代車を含めた特約、保険ですね、これを確認しておくというのが大切になるのではないかなと思いました。

(徳増 ないる キャスター)

事前に備えるためにもやはり情報が大切になってくるとおもうんですけれども、私達が住む地域でどんな危険があるのか、松浦さん、どのように確認したらいいのでしょうか?

(松浦 悠真 気象予報士)

まず一つ有効な手段として、気象庁などが提供している「キキクル」というものがあります。今回は浸水の被害ということで、浸水の「キキクル」というものを発表しました。18日の実際の「キキクル」で午後1時ごろなんですけれども、沼津市周辺は赤色や紫色というのがあるんですが、紫色が出ていた時に実際に被害が出ていたんですね。特にこの赤や紫になっている時に早めに対策をとるというのが重要になってきます。

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