県が仮想空間メタバースで不登校に“学びの場”を(静岡)
Daiichi-TV(静岡第一テレビ) / 2024年6月21日 18時36分
静岡県は2025年度をめどに、不登校となった子どものために仮想空間メタバースに“学びの場”を開設する予定です。
全国的にも広がる仮想空間の学びの場どのような場所なのでしょうか。
全国でおよそ30万人といわれる不登校。
県内では不登校の生徒や児童の数は年々増加。2022年度には小学生3321人中学生6126人と5年前のおよそ2倍になっています。
様々な理由により学校に通う事が出来ない子どもたち。一方で、学びを止めないための対策が進んでいます。
県はインターネット上にある仮想空間の一つメタバースに2025年度をめどに新たな学びの場「バーチャルスクール」を作ると発表したのです。
(県の担当者)
「オンラインで自学自習ができる ことを考えている」「学校に繋がっていない児童生徒 が多いという事があり。そうい う子たちの学びを止めないとい う事を考えましてバーチャルス クールを考えました」
仮想空間での学びの場とはどのような場所なのかすでに事業を始めているのが東京都です。
墨田区では2023年9月からバーチャル空間での繋がりの場の提供を始めていて、静岡県の担当者も2024年1月に視察に訪れました。
実際に仮想空間で行っている取り組みを職員に再現してもらいました。
(作業画面の様子)
「アバターを選ぶことができます。私たちは管理者なので、先生のアバターを選ぶことができるんですけど子供たちは動物のアバターを選ぶことが多いです。
仮想空間内でアバターと呼ばれる自分自身の分身を操り教室の中を散策したり参加した子ども同士でコミュニケーションをとることができます。さらにこの空間には教育委員会の職員などが“カウンセラー役”として参加し子どもたちと接しているのです。また、参加しやすいように動物のアバターを使えるようにして子どもたちが、年齢や性別を明かさなくていいようにしています。
(墨田区教育委員会 事務局指導室)
「不登校のお子さんは自宅から中々出れないお子さんもいて、そうなってくると自分だけでしか過ごすことがない。お家の方も共働きでいないことが多いので、人と関わるという事、そのものが中々日常の中で取れていないこの仮想空間の中でそれができるコミュニケーションを図ることができる」
さらに学習アプリも導入していて“カウンセラー役”は子どもたちが勉強に興味を持つ環境づくりをしています。
最終目標は、あくまで、現実の学校へ復帰すること。
ここでの活動内容は学校に情報提供され将来、子どもが学校に行けるようになるきっかけの手助けにもなるのです。
現在、墨田区では小学生から中学三年生までのおよそ40人が登録しているという事です。
(墨田区教育委員会 事務局指導室)
「まだ中々(復帰)まで来ている子供はいないんですが、ただバーチャルの所に入っている学習アプリを使って勉強を行うようになった子だとか、そういう子はいますので、そういう意味で学校に戻れてはいないが、学習に対する意欲だとかそういうものが高まっている子がいるのは、効果としてあるかなと思っています」
自治体が新たな学びの場を作る一方で
仮想空間で授業を受け“高校卒業資格”を取ることができる学校も出て来ました。
こちらは、国内外合わせておよそ2千人が学ぶ通信制の高校「勇志国際高校」
2024年度から仮想空間で学校生活を送る「メタバース生」をスタートしました。年間を通じてメタバース内の学校で授業を受けます。
それと、年数回の対面での授業を受ければ“高校卒業資格”が取れるのです。
(勇志国際高校 デジタル教育推進室)
「3年間通っていただいて卒業要件を満たしていただければ、全日制の学校と同じように高校卒業という形で履歴書も書けるし大学にも行けるしというような形です」「学校に問題なく通学できる子もいますし、不登校の子もいます。海外にいて学校に通う子どももいます。後は身体の都合で病気で学校に通う事が肉体的に負担の子どもが通っている」
実際に通っている生徒に話を聞くことが出来ました。
千葉県に住む「しーぜっと」さん16歳。
「しーぜっと」さんはあることがきっかけでメタバース生に入学したと話します。
(しーぜっと さん)
「小学生の頃から言動とか思考とかが今とほとんど変わらなくて、妙に理屈っぽいみたいな事を言われたりすることがあって、同級生と話していて会話の歯車がかみ合わない事があまりにも多くて、それが苦痛で学校には行かなかったんですけど」
しーぜっとさんが実際に学んでいるメタバースの教室に入ってもらいました。
ヘッドセットを装着しパソコンでログインして入ると…
目の前に映し出されたのは本物そっくりの教室の映像。
自分のアバターを操作し現実と仮想空間が連動する不思議な空間。
し~ぜっとさんも仮想空間での学びによって多種多様な人との繋がりが広がったと話します。
(しーぜっと さん)
「自分と違う境遇の人、自分と全然違うスキルやバックグラウンドを持っている人がいるので、とてもワクワクしてますよね。リアルの地続きの接点じゃ会わなかったんじゃないだろうかと思うタイプの人と関わりを持つ事が出来るのはメタバースならではの特徴なんじゃないかなと思います」
新たな教育の場として徐々に広まりつつあるメタバースを活用したバーチャルの学校。
静岡県は2025年度をめどに「バーチャルスクール」を開校するため現在も事業計画の策定を進めています。
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