【密着】奮闘!太鼓の高校ナンバーワンチームを決する「全国高校生太鼓甲子園」(静岡・御殿場市)
Daiichi-TV(静岡第一テレビ) / 2024年8月1日 17時42分
7月28日・日曜日に静岡・御殿場市で開催された太鼓の高校日本一を決める全国大会。強豪校を相手に奮闘した静岡の高校生の笑顔と涙の暑い夏に密着しました。
太鼓の高校ナンバーワンチームを決める「全国高校生太鼓甲子園」全国各地から、ビデオ審査を勝ち抜いた10校が頂点を目指し、静岡・御殿場の地で激しい戦いを繰り広げました。今回、静岡から出場を決めたのは飛龍高校和太鼓部。過去に優勝経験もある強豪校。しかし、今大会はある試練を抱えての厳しい戦いに。和太鼓部の夏に密着しました。
沼津市にある飛龍高校。視聴覚室で練習するのは創部20年を迎えた和太鼓部。これまで全国大会で優勝するなど輝かしい成績を残している県内屈指の強豪校。太鼓甲子園に向け、夏休み返上で厳しい練習に励んでいます。
(飛龍高校 和太鼓部 部長 高杉 星羅さん・3年)
「審査員も一般のお客さんも含めて人の前に立つということを、もっと実感した方がいい」
部をまとめるのは、3年生の2人。部長の高杉星羅さんと、副部長の小林和葵さんです。実は飛龍高校の和太鼓部には顧問はいるものの、指導者はいません。ですから、3年生が後輩を指導し、その技術や伝統は代々受け継がれているんです。
そんな2人に太鼓の魅力について聞いてみると…。
(飛龍高校 和太鼓部 部長 高杉 星羅さん・3年)
「耳が聞こえない人でも、(和太鼓部の)楽しそうな演奏を見ることで(その方が)楽しくなれるところが一番の魅力だと思います」
(飛龍高校 和太鼓部 副部長 小林 和葵さん・3年)
「お客さんに『あなたの笑顔素敵だね』って言われた時が一番うれしいです」
和太鼓部は、地域のお祭りや、施設訪問などにも積極的に参加。太鼓の響きがお客さんとの距離を近づけてくれるといいます。3年生にとって高校生活最後の夏。目指すは全国高校生太鼓甲子園の頂点です。しかし、ことしの和太鼓部には、ある問題が…。それは部員の数。
(飛龍高校 和太鼓部 部長 高杉 星羅さん・3年)
「8人で出ます。大人数で演奏するチームと比べて、迫力はやっぱり劣るかなって思うんですけど…」
大会の出場人数は15人まで。しかし、ことしの飛龍高校は、全チームで最少の8人で出場することに。実は、新型コロナの影響で、部員が退部したほか、入部希望者も激減。全盛期は30人近くいた部員も、今はわずか13人。しかも1年生の5人はまだ経験が浅いため、大会には出場しません。わずか8人での出場。そこで、考えた作戦は…、
(飛龍高校 和太鼓部 部長 高杉 星羅さん・3年)
「少人数だからこそできる一糸乱れぬバチ捌きと豊かな表情で審査員の心を魅了します」
全員の動きや気持ちをシンクロさせ、大人数のチームに挑みます。しかし、オーケストラのように指揮者はいないため、リズムやフリまで合わせることは至難の業。練習ではこんなシーンも…。
(飛龍高校 和太鼓部 部長 高杉 星羅さん・3年)
「遅い!遅い!」
「早い!早い!」
(飛龍高校 和太鼓部員)
「えっ?今早かったですか?」
(飛龍高校 和太鼓部員)
「打つのと、顔上げるのと、声を出すの3個はめっちゃきついです!」
(飛龍高校 和太鼓部 部長 高杉 星羅さん・3年)
「甘えるなよ!」
0コンマ数秒のずれ。体が覚えるまで、何度も繰り返します。
仲のいい和太鼓部は、みんな一緒に部室で昼食。2年生は先輩たちをどう思っているのでしょう?
(飛龍高校 和太鼓部員)
「プライベートでもめちゃくちゃやさしいです」
(飛龍高校 和太鼓部員)
「いい先輩です」
(飛龍高校 和太鼓部 部長 高杉 星羅さん・3年)
「めっちゃご飯食べてた」
仲の良さはどこにも負けません。果たして一糸乱れぬ演奏は成功するのか?
全国高校生太鼓甲子園が行われるのは 御殿場市の富士山樹空の森。
(飛龍高校 和太鼓部)
「おはようございます!」
出場するのは飛龍高校を含む10校。厳しい審査を勝ち抜いた全国屈指の強豪校ばかりです。中には、能登半島地震で大きな被害を受けた石川県の輪島高校の姿も…。
(輪島高校 和太鼓部 川端 光太朗さん・3年)
「いま、自分たちが練習していた場所も避難所になっていて練習できる環境ではなかったです。寄付金とかもいただいたりして、その感謝の気持ちも込めて精一杯みんなで演奏したいと思います」
そして、出場最少人数の8人で挑む飛龍高校は、衣装を身にまとい最終調整です。
そしていよいよ開幕。審査基準は打法や演奏技術、音楽表現にチームワークなど様々。1校の演奏時間は8分以内です。飛龍高校は抽選の結果2番目の演奏。舞台袖で待つメンバーは緊張を隠せません。そしていよいよ飛龍の番が。大勢のお客さんを前に、8人の心を一つにさせることは、できるのでしょうか?
張り詰める空気の中、順調な立ちあがりを見せる飛龍高校。しかし、この後、思いもよらぬアクシデントが。演奏開始2分…。
何と、バチが折れてしまいます。すぐさま予備のバチに持ち替え続けますが、演奏の中盤にも…。何と再びバチが折れるアクシデントが!とっさに仲間のバチを借り演奏を続けます。それでも、一切気持ちを乱さず心を一つに打ち続ける8人。最後まで誰一人諦めません。そして…。
(飛龍高校 和太鼓部員の先輩)
「大丈夫 大丈夫!頑張った頑張った!大丈夫 大丈夫!」
悔しさと、先輩のやさしい言葉に、涙があふれます…。
結果は埼玉県の川越高校が最優秀賞に。また石川県の輪島高校も見事な演奏で審査員特別賞を受賞。惜しくも飛龍高校の入賞はなりませんでした。
(飛龍高校 和太鼓部 部長 高杉 星羅さん)
「私はみんなよかったと思うよ。アクシデントも含めて私たちのパフォーマンスだから。私は今までで一番良かったと思ってるから、それを含めてお疲れさまって言いたい」
和太鼓部の技術と絆は、これからもずっと引き継がれていきます。
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