【特殊詐欺】被害者が語る最新手口 “ビデオ通話に誘導” 被害額は411億円「自分は絶対にだまされない」はずが… 変わる犯行態様に注意を呼びかけ(静岡)
Daiichi-TV(静岡第一テレビ) / 2024年11月22日 17時34分
全国で後を絶たない「特殊詐欺」による被害。「自分は絶対にだまされない」と思っていたにもかかわらず、100万円の詐欺にあった静岡市の男性に単独インタビューを行いました。そこから見えてきた言葉巧みな犯人の手口とは?
オレオレ詐欺や還付金詐欺など全国で相次ぐ「特殊詐欺」。今週初めにも、カンボジアを拠点とする特殊詐欺グループのメンバー4人が逮捕されましたが、それは氷山の一角…。
特殊詐欺による被害額は、全国で約411億円に上ります。(警察庁9月末現在)静岡県内でも、これまでに322件の被害が確認されていて、被害額は約11億6700万円と、2023年よりも約5億6400万円も増加しています。(静岡県警11月21日現在)
その手口も、私たちが普段よく利用するLINEが使われるなど、ついついだまされてしまう形に巧妙化しているのです。
今回、私たちは、実際に特殊詐欺の被害に遭ってしまった、静岡市に住む40代の男性に話を聞くことができました。
警察を名乗りSNSに誘導
(被害者の男性)
「自分は絶対大丈夫だって思ってたが洗脳されてたわけではないが立ち止まれない自分がいました」
さらに、犯人からかかってきた電話の音声データも入手。
(警察を名乗る男)
「大阪府警が現在つかんでいる証拠によりますと●●さんがこの主犯格の●●と共謀しているのではないかと疑いが…」
そこには、被害者から、巧みな会話でお金をだまし取る犯行の一部始終が記録されていました。
10月、100万円をだましとられる被害に遭った静岡市の男性。きっかけは警察を名乗る男からの一本の電話でした。
(被害者の男性)
「逮捕状が出ているという口実で最初電話がかかってきた。身の潔白を証明するためには、ちょっと今から言うことをちょっとこう聞いてくださいっていう感じで、個人携帯にかかってきて、自分の名前と住所も言われこの人把握してるんだと思った」
突然、携帯電話に非通知で連絡があり、自分のキャッシュカードが犯罪に使われていてある事件の容疑者として逮捕状が出ていると迫られたといいます。
(警察を名乗る男)
「現在ですね、2つの逮捕令状が発行されてます」
(被害者の男性)
「マジですかはい」
(警察を名乗る男)
「この件を放置してますと、この事件の罪が成立してしまう。その辺はご理解されていますか」
(被害者の男性)
「いやいやそれは困りますよ勝手にそんな…」
男性は、はじめこの電話を不審に思い、会話を録音するなど冷静に対処していました。しかし、電話先の男が警察であることを証明するとLINEのビデオ通話に誘導してきたといいます。
(警察を名乗る男)
「こちらがですね、大阪府警と名乗る人物たちとのLINEのやり取りになります」
当時、名前のところには「大阪府警」と表示されていて、ビデオ通話では警察の制服を着た男が、刑事の肩書が記載されている名刺を見せてきたといいます。
(被害者の男性)
「LINE通話をして、その相手の顔が明かされたので、そこでやはり本物かっていう 感じで。ちょっと怪しいなっていうのもちょっと薄れてきて、本当に自分やばいなって思っちゃったんですよ」
その後、パニックになってしまった男性は、偽警察官から言葉巧みに、自分が逮捕されてしまうかもしれないと不安をあおられ、その上で、潔白を証明する方法として「持っている現金が犯罪に使われていないか調査する」と提示されます。
(警察を名乗る男)
「今お持ちの資産の一部を金融調査機関に預けさせていただきます。犯罪に使われているというお金がないということがわかれば、全額お戻しする形です」
男性は、早く疑いを晴らしたいと誘導されるがままに、男から指定された口座に100万円を振り込んでしまいました。
県警によると、この捜査機関をかたる手口が、新たな特殊詐欺の形として増えているといいます。
SNSで偽物の逮捕状や警察手帳を見せられることも
(静岡県警 生活安全企画課 増田修管理官兼次席)
「SNS、LINE等に誘導して偽物の逮捕状を見せられたり、警察手帳を見せられたりというケースも、最近多くなっている」
警察や検察など捜査機関をかたる詐欺電話の被害者は、50代以下が約35パーセントと、高齢者でない場合も多く、最初から携帯電話に直接かかってくるケースも37パーセントあるといいます。
(静岡県警 生活安全企画課 増田修管理官兼次席)
「最近では、40代、50代といった、現役世代と呼ばれる方も被害に遭っているのが特徴、最近では個人の携帯電話の方に最初に電話してくるというパターンも多くなってきている」
さらに、注意が必要なのが振込先。特殊詐欺に使われるほとんどの口座は個人口座なので、男性が100万円を入金した振り込み先も個人口座でした。
(被害者の男性)
「相手の口座の中国人の名前で、おかしいなとは思ったんですけど、そこもやはりちょっとこう、 その時はちょっと視野に入らなくて」「普通に考えればわかるじゃんって、誰もがやはり思うことを、やはり自分はしてしまったので、 すごく悔しい気持ちっていうのはある」
県警は「警察がSNSで連絡することや、金銭を要求することはない」とした上で、「まずは詐欺を疑って警察に相談をしてほしい」と注意を呼びかけています。
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